第2話 少女の過去
私の名前は【アイナ・クリス】18歳
私が8歳の時に、父は戦争に行き、戦死し
その2年後、元々身体が弱かった母も病気で亡くなりました。
両親を失った私は、親戚の独り身の鍛冶師【ハイルフ】の作業場で住み込みで、働く事になり
朝は日が昇る前に家畜の世話をし、ハイルフと一緒に近くの神殿に通うのが日課でした。
神殿に通う理由を聞いてみましたが
『剣には精霊が宿る、良い精霊か悪い精霊どっちが憑くか判らんが、なるべく
良い精霊が憑きますようにって神頼み、みたいなもんだ』
当時の私は、精霊と言う物を信じていなかったので、適当な相づちを打って
聞き流していました。
ハイルフの剣は王国のお偉いさんや、遠い異国の剣の達人なんかが、買いに来るぐらい
鍛冶屋の中では名が通っていました。
ですが、剣を打つ事はせず、よく怒鳴り散らしながら追い払っているのが
印象的でした。
『なぜ、打ってあげないの?』
私の素朴な疑問に、先ほどまで声を荒げていたハイルフも、気持ちを落ち着かせて
『剣は人を殺す道具だ、その使い手に、良い精霊か悪い精霊が憑いてるかは一目で判る』
無理やり気持ちを落ち着かせた様なハイルフは、作業場に戻り、また剣を打ち始めました。
私は家畜の世話に戻った。
豚や牛、鶏、色々動物が居るけども
私のお気に入りは、馬の【アーニス】
ここに、初めて訪れた時に寂しさのあまり、中々寝付け無かった私が、家畜小屋の方に行った時に
月夜の光に映し出された、その姿はとても、神々しく警戒する事無く近づいて行った私を
優しく迎え入れ
気づけば芝生の上で朝を迎えていました。
すっかり、癒されて寝てしまったらしい・・・
ボソボソの髪で、作業場に向かったら、ハイルフは少し笑みを浮かべながら
『どうだ?気に入ったかアーニスって名前なんだ、仲良くしてくれよ』
この一言で私の中で、ハイルフとの距離が少し縮んだ気がしました。
アーニスの世話をする中で、ハイルフには内緒で、こっそり鞍をつけて乗馬の練習をしたり
時間を見つけては、興味がある事を色々して、日々生活していました。
私がハイルフの作業場を訪れて1年が経った時
今まで料理は、近場の酒場や商店で出来合いの物を買っていましたが
『私も料理が出来るようになりたい』
っとハイルフに伝えてみた所、2日後、晩御飯を食べている時に
ハイルフが席を立ち、作業場の方へ向かって行きました。
ご飯を食べるのに夢中だった私は、特に気にする事も無く食事を続けていると
ハイルフが戻って着ましたが、手には何かを持っている・・
『1年間ありがとう、これは俺からの賃金だ、腕を振るってくれよ』
渡されたのは、とても軽く、眩い光沢を出している包丁でした。
私は泣きながら、ハイルフに感謝を気持ちを伝えました。
嬉しさのあまり、何を言ったかは覚えてないのですが・・
その日の夜は、頂いた包丁の事と、これからの献立で頭がいっぱいだったので
寝れませんでした・・。
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