嗚呼、栄光の白帝学園生徒会よくそくらえ‼
あいうえお
第1話 嗚呼、異世界哀歌
よう、俺は大螺巌大吉、高校2年。かっちょいい名前だろ? 自慢の一つだ。他にはボクシングをやってるのと―
「ぎゃああああああ! お助けええええええ!」
「ガアアアアアアア!」
逃げ足かね!
挨拶はこれで勘弁! なんでって? みりゃわかんだろ⁉ ベヒモスに追われてんだよ! ベヒモスに!
ベヒモス⁉ わからねえなら、10メートルくらいの、牙と爪の生えた紫の牛を想像してくれ!
「ゴオオオオ!」
「あばばばばばばば!」
あと火噴く! すごく噴く! バーベキューを一足飛びしてあっという間に消し炭になっちまうくらいのをだ。
「こら! 動くんじゃないわよ大吉! 狙いにくいでしょうが!」
「大吉く~ん? もう少しスピード落としてね~? 会長が狙いにくいって~」
「……暑い」
このむかつく人でなし供?
巻き毛が白金織姫、眼鏡が志川木真矢、ちっこいのが都戸よしな! 見た目通りおぞましい極悪人だ! いや、悪そのものだ! よ~く憶えておいてあったら石投げてやってくれ!
「……! よし! いくわよ~!」
織姫の指先に、運動会で転がす大玉くらいの火の玉が浮かんだ。そしてすぐに小さく縮んでいく。威力が落ちたとかじゃねえ、『圧縮』されてやがる。赤い炎だった玉が、白く光って尋常じゃねえ熱を出してやがる! だってここにいてもわかるんだぞ?
「わ~。成功ですね会長」
「よ~し! いきなさい! 焔極球(メテオ・ルージュ)‼」
あいつは『それ』を、俺(&ベヒモス)に向ける。
そして―
「ま、待ってくれええええええ!」
「ガアアアアアアア!」
「てめえもいつまでも追いかけてねえで野生の本能で逃げるとかしろおおおお! 俺の近くだと巻き添え―」
世界が真っ白になった。
× × ×
……気持ちいいなあ……花の匂いだ……。
お花畑……。なんて気持ちいいんだろう……。
「大吉……大吉……」
おばあちゃん……。
ああ……おばあちゃん……。
懐かしいなあ、おはぎおいしかったなあ。おたまじゃくしの池、そういえばまだあるかなあ……。
「ガア」
ん?
おや、ベヒモス……。おお、それは奥さんか、そうか……お前も悲しいんだな……。
「今日はこれるのかい……?」
そうだよ……今日こそ……そっちに……。
「……さっさと生き返りなさい!」
……ん?
× × ×
「っがはあ⁉ はっ……はああああ!」
「……起きた」
「あらあら」
「まったく! どんくさいんだから!」
覗き込む3匹の悪魔。
……なんだ? 何かひどく懐かしくて、心がクチュクチュしちゃう、そんな妙な感じが残っている……。う~む……。
「けど、なかなかの威力ですね」
「使えるわね!」
「お、お前な―熱っ⁉」
ま、マグマ化してるクレーター! 真ん中には、真っ黒こげのほとんど骨だけのベヒモスの残骸……なんでだろう、お前とは他人の気がしない……! ……この沸き立つ感情は……。
……というか、逆に無傷なオレの体が怖い。どう考えても消し飛んでないか? クローンとかって落ちはやめてくれよ?
「じゃ、次ね」
「はいいい⁉」
「……この近くだと、ゴールデン鬼武者がいる」
「お、おいー」
「……索飛(サーチャー)。……見つけた」
「よし、いくわよー!」
……‼ ダッシュ! 逃げますよええ! 逃げますとも! 俺を腰抜けと言うやつは出て来い、一発殴ってやる!
「あ、大吉くんが逃げてます」
「こら! 蜘蛛獲(スタシャール)‼」
「離してくれええええ!」
囮はもういやだあああああああ! 人権侵害だぞおおお! いやそれ以上に人命侵害だああああ! やだああああああ!
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