プハンタシアワールド1071〜異空次元警備学校〜

ラピーク

〜少年少女達の序章〜

「はぁ……はぁ……」

身体的に十五歳の少年は血塗れの教室で返り血を浴び息を切らしていた。周りには机が散乱し冷たくなったクラスメイトが横たわりその血でてきた水溜りが広がっている。

--カランッ

少年の手から血に染まった槍が床に落ちる。

「違う……僕は! 皆んなを」

目の前の光景に絶望を覚え膝をつき顔を覆おうとした時に目に入った血の付いた手を見て息を呑む。

「そんな……助けたかった……のに」

見ていた掌に涙が零れ落ち血をにじませた。


--グシャッ

鈍い音とともに少女の目の前にさっきまで話していたはずの友達が落ちてきた。友達からは赤い水が広がりだす。

「何で? 起きてよ。私、何したの?」

軽く揺すって返答を求めるもピクリとも動かない。少女は理解した、壊れ過ぎた彼女の体にはもう魂が宿っていないことを。


丈の長いシャツ一枚を着てまだ十代になったばかりで有ろう少年はボロボロになりながら森を駆けていた。

「うっ……お母さんっ」

裏切られ子供としてみられていないことは頭で理解しても心は認めようとしない。それでも、命の危険を感じた頭は必死で足を動かさせる。

次こければ必ず連れ戻されてしまう。今度こそ生きていられない。

無慈悲にも森の木は少女の足に根を引っ掛け転ばせてしまった。

「嫌だ……助けて、お母さん」

怯える少年にゆっくりと近づく女性はもう少年の母親などではない。

「戻るのよ」

「ひっ……」


九歳になったばかりの少女は森の中佇んでいた。靴を隠され裸足になった足には少し風にしみる傷ができ、服は後ろに押されるなどをして付いた泥で汚れている。それでも涙は流れない、それが少女には周りと違うことを決定付ける物として心臓を締め付けた。

もう、この村には自分の友達など一人もいない。きっと心のない生き物だったのかもしれない。

そう少女は周りの目と自分を嫌った。

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