7.nobody knows

「じゃああたし達駅ビルのクレープ屋に寄って帰るから♪」

何がじゃあなんだかもよく判らないが、杏奈も笑顔をくれた。

彼女達にとっては、いつ何時訪れるか判らない恐怖よりも、身近なスイーツの方が重要らしい。


でも、つ、連れていって欲しい!


「さよなら〜」

ボクのほのかな期待も虚しく、瞳は大きく手を振る。


「ああ、気をつけて帰れよ。」

中年の担任教諭みたいな返しをするボク。


「ありがと♪ね〜ね〜なに食べるぅ?」


「う〜んお腹ペコペコだからケバブ焼売クレープ!」


「ヤッパリぃ!?」


なんだよその正体不明な物体は!?

後ろからツッコミを入れたい衝動を懸命に堪える。

まぁそんなもん貪り食う所なら男子禁制も当然だろう。

仕方なく納得し諦める。


だがしかし、チャリンコを飛ばしてきた甲斐はあった。

この会話が種芋となり、今後の恋の収穫に繋がるに違いない!

都合のいい上手いことを考えて、今日の所はおとなしく帰ることにした。



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