君との約束

永才頌乃

序章

約束






 ──月明かりに照らされた室内の床に、銀の髪に銀の瞳の美しい少年が横たわる。

 その身体からは止めようのない、おびただしい量の赤が流れ出て、溜まりを生み出す。






 想像を絶する痛みと、己の命が尽きていくのを感じながら、それでも少年は微笑んだ。

 目の前で涙を流す自分と同じ色の髪と瞳を持つ、何よりも愛する美しい妹のために。


『──君が立派に務めを果たして、そして最期を迎えるのならば、その時は、僕が迎えに来る。だから、──っ、だから、どうか生きて……』


 切なる願いに、最期の願いに、少女が小さく頷いたのを確認して、安堵の笑みを浮かべた少年の身体から力が抜けていく。


『約束だよ。……──愛しているよ、永遠に。僕の可愛いリジア……』






 愛する妹の名を最後に、優しい笑みを浮かべたまま少年は瞼を下ろした──。





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