バベルの塔

“成る程それで、あなたはクリッケーボールなのね。どこか話し方が似ているのも、きっと彼らに強い影響を受けているからなのかな?”

私が思わずほくそ笑むと、


「ボク、何かおかしなことを言ったかい?」

ハリネズミが怪訝そうな顔で覗き込んできたので、


「全然全然!すごく素敵だなって思ったの。」

慌てて、私は褒めそやした。


「そう思うだろう?ならキミもアリス役で決まりだね?」


「そうね♪・・・って、えーー無理無理無理?!」

能天気に返事を返してから、私は慌てふためいた。


「大丈夫、ボクがしっかりサポートするからさ。」


「クリッケーボールのサポートじゃ、期待できないなぁ~。」

“本当?じゃあ前向きに検討してみようかなぁ~?”


「・・・可愛い顔に似合わずひどいことを言うね。」

ハリネズミが悲しそうに俯いた。


しまった。本音と建て前、逆に口にしちゃった。


「じょ、冗談冗談よ。やぁだーもう、可愛いだなんて!」

ひどい冗談もあったものよね。取り繕うために照れた振りをして誤魔化そうっと。


「ふふふ…冗談冗談。」

ハリネズミも意地悪くニヤリと笑う。


そっちこそ・・・かわいい姿でひどいことを言うわね。おあいこだからゆるしてあげるけど。





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