荒涼の天使たち

きのみのる

第1話

荒涼の天使たち


私達はいつからか自分達の感性に

耳をも塞ぎ目も瞑り

香りも知れない粗末な肉を

ただ無造作に口へと運ぶ動物になってしまったのか


雨が吹いたら靴を捨て

その肌で嵐と向き合う記憶を無くした


幼い我が子が必死にもがけば

乳を搾って血を分けていたはずなのに


こっちの果実が美味いと気付けば

手当たり次第に啄ばんで

あっちの蜜が甘いよと

誰かが噂をするのなら

疑うことなく枝葉を折り積み


種まく知識は、自然にお任せ


荒涼の欲望

飢えが棲家となった者達


荒涼の欲望

信じられるものは単純なままの痛みだけとなったのか


どんな思想も賢人も考えぬ者には歯が立たない


耳を塞いで躍り狂う悪魔

眼を見開いてそれを放つとする天使


あなたはどっちか

私はどっちか


世界の視野は無数にあるのに


何処へ行っても変わりはしない

荒涼の欲望

時空を超えても、愚かな者達

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

荒涼の天使たち きのみのる @Asmi10

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ