未完成のストーリー

きのみのる

第1話

「未完成のストーリー」



君と出逢ったあの季節に何年ぶりかな

会いに来たんだ

サクラの咲く並木道に

君の面影を探しに来たんだ


どんなに時が流れても

どんなに時を重ねても


あどけなかったあの恋を

振り返ってしまうんだ


恥じらうように微笑む少女は

幻みたく輝いて

手を取り合って信じた未来は

繋いだ指を解けさせたね


ぼくの中に残されたのは

未完成のまま君を待つストーリー



特別な場所があるとするなら

置き去りに慣れた古いベンチで

君の声を優しく染めた

夕暮れさえもうあの日のままだよ


不意に視線を隣に寄せても

ちがう誰かがいるわけじゃなく


君の瞳が見当たらなくて

愛おしさが空回りする


恥じらうように微笑む少女は

幻みたいに儚くて

手を取り合って誓った未来は

君の香りを遠くにさらった


ぼくの中に残されたのは

未完成のまま君を追うストーリー



いつかまた逢える日がくるなら

この想いを伝えられるかな?

別々の道ですれ違う時がくれば

許し合えるかな?



恥じらうように微笑む少女は

幻みたく輝いて

手を取り合って信じた未来は

繋いだ指を解けさせたね


恥じらうように佇む瞳は

幻みたいに儚くて

手を取り合って誓った未来は

君の香りを遠くにさらった


ぼくの中に残されたのは

未完成のまま君を想うストーリー


忘れたいよ。忘れたいよ。忘れないよ。

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未完成のストーリー きのみのる @Asmi10

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