冷えた森

きのみのる

第1話

『冷えた森~god bless』



貴方の声に触れられないと

まだ 独りきりじゃ歩けない


深い森は陽の光さえ

遮ることなど容易くて


流した泪は宝石になる

呟いたのは 貴方だった


手を鳴らして 此処にいるよと

目隠しをまだ

外す勇気も足りてないから



息を切らして 裸足のまま

爪を剥がして 道なき道を

上手くやれると思ってた

生きること ただそれだけなのに



陸と水との境界線さえ

耳を塞げば解らなくなる


肩に群がる虫を掃って

私は何所へ 辿り着く

貴方が鳴らす 手の鳴るほうへ



貴方の声に触れられないと

まだ 独りきりじゃ歩けない


深い森は柔肌犯し

刻んでしまうの 鋭利な傷跡


流してしまった血もやがて

飾りになれると 信じていたい


手を鳴らして 此処にいるよと

目隠しをまだ

外す勇気も足りていないから



彷徨った先で雨が呼べたら

汚した身体も洗える気がする


私の声が綺麗じゃなくても

届けばいい


私が愛した人たちに

もう帰れない

私の愛した人たちへ



貴方の智慧に触れられないと

まだ 独りきりじゃ歩けない


深い森はあの日の家族を

葬ることも厭わないから


斑模様の追憶を

衣装に出来れば 私になれる?


手を鳴らして こっちへおいでと


目隠しもまだ

外す勇気もないくせに


貴方を求める 「ごめんなさい」と

貴方を求める  どうか助けて

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冷えた森 きのみのる @Asmi10

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