🔥38話 その女、のちの軍神・上杉謙信なり ※上杉謙信・真田幸隆🔥が出陣

 そのあと、幸隆ゆきたかは再び、己の全人類が引くほど綺麗な部屋で仰向けになり、布団にくるまって物思いにふけっていた。



 すると、幸隆の部屋の外から「幸隆、アタイだ。いるんだろ❓」という獣の叫び声ほどの大声が聞こえてくるのであった。


 その声のヌシがトラだと一発で気づいた幸隆は掛け布団から顔を覗かせると「でけぇ声した男の六歳児かと思ったらトラじゃねぇか。」と相変わらず部屋の綺麗さとは合致しない下品な憎まれ口を叩いた。

 


 トラは顔を少し赤くするとムッとした口調で「黙れ、ぶっ殺すぞ💢アタイは女だ!!」と言うと、扉を開けて幸隆の部屋の中へ滝へ昇る龍の勢い入っで入っていった。



 すると、トラが部屋に入ってきた瞬間、幸隆は怒涛の如く布団を吹っ飛ばし、立ち上がって「ヘイヘイ、ボケナスぴー。」と腹立つ感じで出迎えの舞を踊り狂たのだった。



 トラは怒りを抑えながら「マジで憎たらしい存在だ。なんだ、この人が住み家とは思えないほでにホコリがない部屋は⁉️そんなにぶっ殺されてぇか💢」と最後にはあっけなく火山が大噴火するのであった。


 

 幸隆は「あ⁉️テメェのヘドロボケカス顔面よりマシだわ🔥」とムダに魂を込めて大声で言った。



 トラは瞬時にイラっとした顔をしたあと、その次にハアと大きくため息をつき「これでアタイとオサラバかもしれないってのに。」と言っうのであった。



 幸隆は悪い目つきを途端にキョトンとさせたあと「あ、どういうことだよ?」と言うのであった。



 トラは普段にまして凛々しい顔になり「アタイは越後えちごに帰る。ちなみに景持かげもちも連れていく予定だ?お前はどうする?」と幸隆に尋ねる。



 すると、幸隆は目線を下にやって「わるいが、俺はいかねぇ。佐太夫の奴が気がかかりだ。」と答えた。

 

 

 ......少し間あいた。その直後でトラは腹を抱えてゲラゲラと笑いだし「なんだ、なんだ。クズの幸隆が真剣な顔してんやんの!!」 と幸隆を指をさしたうえで小刻み腕を揺らした。

 

 幸隆はやんのかテメェと「おい、テメェ、ボケ💢」と顔を真っ赤にさせた。








 「......お前らはこんなとこで絶対くたばらねぇし、終わらねぇよ。」








  幸隆はトラの、その発言にめんくらった顔をして「なんだ、そりゃ。オマジナイかよ。」と小さな声でいうのであった。



 そして、トラは女らしく笑うと「そうだな。ただ確かなことは、それだけアタイは、お前らのことが好きだった。また、会いたいと思ってるぜ。どうせ、お前のことだから佐太夫を牢から出すテハズが既にあるんだろ?違うか???。」と幸隆に優しく尋ねる。




 「まあな。」




 「期待してるぞ。」

 

 


 幸隆はフンと渋く笑い「偉そうに、俺もテメェに期待してる。越後に戻ってテッペンとれよ。」と勢いよくシュッと腕を突き出し握りコブシをトラにむけた。


 

 トラも同じく腕を突き出し握りコブシを幸隆のコブシにゴツンとぶつけ「アタイの力をもってすればテッペンなんか余裕だぜ。ただアタイは、病弱な兄の力になりたいだけだ。それだけだ。」とさきほどとは打って変わり、彼女らしく勇ましく笑った。



 1543年。トラ越後に戻り、元服して長尾景虎ながおかげとらを名乗るようになる。後に上杉謙信うえすぎけんしんを名乗ることになるトラの無敗伝説がここより始まることになる。

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