第三十六話 驚きの提案 ※登場武将(真田幸隆・望月千代女)

 すると、幸隆の部屋は煙まみれになり、それが突如消えたあと、幸隆の眼の前に一人の女が立っていた。その女は「私は武田方の忍びの者。望月千代女もちづきちよめ。さっきからアナタ、失礼。」と名乗り、少しムッとした顔をした。

 幸隆は打って変わって、小さな声に変わり「なぜ、俺を武田方に誘う?佐太夫の元カノっていうから野生の猪に育てられてそうな、いかにもヤバそうな女かと思ったぜ。ブスではないな。中の上って感じだな」と色々と、かなり失礼な幸隆は千代女に誘う理由を聞いた。

 千代女は怒りたい気持ちをおさえ、真顔を保ちながら「武田は小県を含む、信濃しなのの全部を自分の領土にしたいと思ってるの。そのためには信濃の案内人が必要だと考えてるわ。成功したら小県をあげるよ。」と実直に答えた。


幸隆ゆきたかはやや驚いた顔をしたあと、真剣な表情で「俺は戦で一度も勝ったことねぇ。こんな俺が武田に鞍替えしていいのか?」と千代女を尋ねる。


 千代女ちよめは意地悪な小学生みたいな顔をしたあと、わかってますよと言わんばかりに「何をおっしゃい、見事に戸石城といしじょうを落としたじゃないですか。......返事は二年待つとします。」とニヤリとするのであった。


 幸隆は俺のこと滅茶苦茶調べてる変態じゃんという思ったが表情を完全変えずに「その二年ってどういう数字だ。」と真剣の中の真剣というテイで質問した。


 千代女は忍者として優秀、幸隆の顔の歪みには気づいたが、それを流して「鷲塚佐太夫わしづかさだゆうが処刑されるのが二年後。」と事実を述べた。


幸隆は一瞬だけ佐太夫を思い出すと「なるほど、俺とアイツは運命共同体か。」とクスリと笑うのであった。


それから、少し時がたつと千代女は「イイ返事待ってる。野蛮人さん。」とこの捨てゼリフのあと、また煙が巻き起こり、あっという間に姿を消した。


 そして、そのあとだった。幸隆は腹を抱えて「はぁああああああ!!!佐太夫の元カノに野蛮人言われた。それにしたってアイツが童顔女子好きだなんてよ。ボケ程に笑いが止まらねぇーぞ!!」と布ん団の上を散々に笑い転げるのであった。その直後、天井があき、大量の水が幸隆めがけて降り注いだ。



「うわ!?布団がズブヌレに、やりやがったなこの童顔ボケナス女!!」

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