第三十話 生きて会おうぜ!!
「うわ!!」
「ギャ!!」
「ウギャァァ!!」
無情にも、
「わかりました!!」
「佐太夫様に続け!!」
「オラァァ!!!」
突き進んでいく最中、佐太夫たちはついに村上軍の猛攻を耐え凌ぎ上野へと続く森へ入っていった。佐太夫を含む五人の兵たちは、先程の激戦を癒やすかのようにゆっくり歩いていた。この森には
道の途中、木々が開けている場所があり。そこ一面に柱が立っていた。その柱一つ一つには人がくくられていた。その中にはなんと女、子供も混じっていて、兵士五人のうち一人が突然に泣き崩れた。佐太夫が「どうしたんだよ?」と聞く。
すると、その者は「自分の妻と息子です。」と答えた。
そこに空気をぶち壊すかのうように「ヤッホー。久しぶりだね、
不気味に中央に鬼と描かれた額当てをさすりながら見覚えのある白髪頭の青年は佐太夫に話しかけた。
「……」
「ひょっとして僕の名前忘れちゃったの。ショックだな。僕は
「うっす。」
「僕のことは覚えてなくても、この人たちのことは、さすがに覚えてるでしょ。」
鹿右衛門はそう言うと、木の柱に括られる、二人の男に手裏剣を投げた。手裏剣は、二人の男の頭に見事命中した。その二人の男は佐太夫の父と兄だった。
その直後、佐太夫は一瞬のうちに体が硬直してしまった。
「父ちゃんは、俺のことが大好きだったな。いつも、俺がバカやると一番笑ってた。
兄ちゃんは、バカ真面目な性格で俺がバカやると一番心配してたな。
俺と兄ちゃんは喧嘩ばっかで、俺が鷲塚家の後を継げる兄ちゃんに文句をつけると、父ちゃんはいつも笑ってた。
そんな鷲塚家が俺は大好きだったっけ。」
「ボケ。思い出にひたるな。テメェがやるべきことを思い出せよ。天然野郎。」
そのとき、佐太夫の心に幸隆の声が突き刺さった。
「あれ!?俺、今、幸隆に叱られた???そうだったな。俺が、今、絶望したら。俺の周りの奴ら全員死ぬ。ありがとう、幸隆。俺の相棒。」
「よく気づいたな。ボケ。早く、俺を上野まで連れてけ。何も考えないところがテメェのいいところだ。あとは突き進んで、ブチかますだけだろ。」
森の奥の方から木々をかき分けて五十名ほどの村上兵が現れた。彼らは佐太夫たちを囲むように進軍してきた。
「ボケども!!散れ!!もう後先考えんな!!自分の身以外!!上野に生きて会おうぜ!!!」
佐太夫は、このとき、こう思った。今、叫んだのは俺じゃない幸隆だと。
そして、佐太夫は続けて「お前ら逃げるぞーー!!」と言った。ニッコリと。そうすると、彼は一目散に村上兵を避けつつ上野へ向かった。残った兵士も足を走らせた。妻子を殺された者も同様だった。
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