第3話 護国刀 神那岐 その2
(か、かわいい!! こんなにかわいい『生き物』がこの世にいたなんて!?)
振り返った
(「
加えて、私の「正義の
一緒にする訓練もすごく「楽しい」だろうし、一緒に料理したり、時には「ピクニック」とか行くのもすごく楽しみだな~)
(近い年代の人が近くにいなくて、兄弟姉妹にあこがれていたけど、こんな素敵な人が「お姉さん」みたいになってくれたら嬉しいな)
満面の笑みを浮かべた二人の美少女は双方の「
「父様、行ってまいります。」
今から極楽へ行くのではないかというくらい晴れやかな笑顔を浮かべて、千早は泰蔵に別れの挨拶を告げた。
「千早ちゃんの面倒は私たちが責任を持って見ますので、ご安心ください。」
瀬利亜も泰蔵に極上の笑みを浮かべながらあいさつをする。
「お二人とも、千早をよろしくお願いします。」
一人寂しげな笑顔を浮かべながら、泰蔵は去りゆくリムジンに向かって、
いつまでも手を振り続けた。
「この車すごいですね。まるで飛ぶように走って…飛んでますよ!?」
外を見ていた千早がびっくりして叫んだ。
「道路状況にかかわらず『現場に急行』するために最新鋭のテクノロジーをつぎ込んでるからね。簡単な反重力システムだから、飛行機のようには飛べないけど、最大時速500kmまでは出せるわね。
そんなスピードで運転できるのは
「さあ、着いたわよ」
(お、大きい…)
車から降りて、目の前の巨大な屋敷を前に千早はしばらく言葉を失っていた。
「千早さま、こちらへどうぞ」
「すみません、荷物は自分で持ちます!」
千早の荷物を軽々と持ち上げて巧が案内しようとするのを千早は荷物だけ何とか取り返して、歩き出した。
「今まで二人だったから、妹が増えてくれたようで嬉しいわ♪」
ニコニコしながら、先を進む瀬利亜の言葉に千早は眉をしかめた。
「あの、ご両親は…」
振り返って、一瞬寂しげな顔をした後、瀬利亜は笑顔で答えた。
「七年前に二人は事故で行方不明になってね。
それから巧さんが親代わりにずっといろいろしてくれているの。
…気にしないで。
あなたが来てくれてすごく嬉しいのだから。」
しばしの沈黙の後、廊下を歩きながら千早が聞いた。
「こんなに広くて、お掃除大変でないですか?」
家事音痴の父・泰蔵に代わって、ほぼ一人で神社の手入れ、家事からこなしていた
千早は早くもいろいろ手伝いをする気満々であった。
「大丈夫。ほら、あそこにお掃除&愛犬ロボットるんぼ☆くんがしっかり手入れしてくれているわ。」
背中からはたきを持ったアームを伸ばし、両わき腹から床用の回転ブラシを生やした
「るんぼ☆くん」は瀬利亜を見つけると嬉しそうにわんわん鳴いている。
「そら、お手♡」
るんぼ☆くんはクンクン甘えてお手をしながら、相変わらず掃除を続けている。
「ほら、一石二鳥の素晴らしい発明だと思うの」
あまりに嬉しそうに瀬利亜が言うので、「分けた方がいいのでは?」という当然の疑問を千早が口にすることはなかった。
「しばらく、客間でくつろいでおいて。夕飯の準備をしてくるから。」
「え、料理は瀬利亜さんがされるんですか?」
「できる時はするようにしているわ。手が回らない時は巧さんに頼むけど。
巧さんは達人級だから、任せた方がおいしい食事ができるけど、自分でもできるようになっておきたいしね。」
「あの、私もお手伝いしていいでしょうか?」
千早が恐る恐るいうと、一瞬考えた後、瀬利亜はにっこりと笑った。
「わかりました。ぜひ、お手伝いお願いするわ。調理歴も長そうだしね。
準備が整ったら呼ぶから、少しくつろいでいてね。」
瀬利亜は鼻歌を歌いながら巧と共に台所に向かった。
白を基調にした豪華な客室で千早は所在なげにソファに腰かけていたが、
ふと飾ってある何枚かの写真に目がいった。
(ご家族の写真だわ。カッコいいお父さんと、きれいで優しそうなお母さん。
お父さんは日本人だけど、日本人らしからぬ長身と彫りの深い顔立ちをされているのね。
瀬利亜さんの銀髪と青い目はお母様譲りね。)
さらに写真を見ているうちに一枚の毛色の違う写真が目に入ってきた。
(こ、この写真はあの「スーパージャスティス」だわ!!)
基本
倒せない怪物はなく、解決できない事件はないと言われた「伝説のヒーロー」スーパージャスティスはしかし、七年前に世界中を巻き込んだ大事件で行方不明になっていた。
「時空を自在に動きまわる究極兵器」をあやつる「怪人ダークファントム」との激闘の末、スーパージャスティスは相棒の「ミステリアスレディ」そして、ダークファントムと究極兵器ともども時空の果てに消えて行ったと言われている。
(どうして、ここにスーパージャスティスとミステリアスレディの写真が飾ってあるのかしら…。)
ふと、千早は不思議な
「えええええええええっ!!!!」
とんでもない事実に気づいて悲鳴を上げた。
「どうしたの!!」
悲鳴にビックリしてあわてて飛び込んできた瀬利亜は千早のビックリした視線の先を見て、事情を悟った。
「…千早ちゃん、ぜひ、この件はご内密にお願いします…。」
しばし、深呼吸をした後、千早はゆっくりと口を開いた。
「ビックリしました。まさか瀬利亜さんのご両親が『伝説のスーパーヒーロー』だなんて。」
「いえいえ、それほどのことでは…。」
「ふふふ、それなら瀬利亜さんもスーパーヒロインであってもおかしくないということですね。
瀬利亜さんはきれいな銀髪だから、あの『シードラゴンマスク』だったりして♪」
ニコニコしながら答えた千早は瀬利亜の表情が凍りついたのを見て、「とある事実」に思い至った。
「せ、瀬利亜さんもしや!?」
「しー!!」
瀬利亜は思わず千早の口を押えて、真剣な目で千早を見つめた。
「ちーちゃん!このことは二人だけの秘密よ!!お願いしますね!!」
瀬利亜のあまりにも真剣な「お願い」に千早は無言で何度もうなずかざるを得なかった。
『 どこのだれかは明明白で♪ 誰もがみんな知っている♪
シードラゴンのねえちゃんは♪ 正義の味方よ良い人よ♪
シードラゴンは誰でしょう♪ 僕とあなたとの秘密だよ♪ 』
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