月を恨め

@wakken

第1話 十五夜


8月15日ーーー、今日は十五夜だ。


団子や果物を供えて月を祭る日。

かつては供え物を子供たちが持ち去るのを喜ぶ風習があったらしい。

今年で18になる"僕"には興味のない話だ、当然の感覚だろう。


大学生はずるい。途端に親からお勉強のことで口出しされなくなる。

それをいいことに、社会のことなんて全くわかっちゃいないのに、俺は大人の仲間なんだと言わんばかりの顔で、ちんたらちんたら生きてる。


リビングにいる母親に呼ばれた気がした。ふと卓上の電波時計に目をやる。

8月15日。

ああ、今日は十五夜か…。


スマホを充電ケーブルに繋いで、"僕"は部屋を出た。



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