第2話 異世界召喚勇者でチートでハーレムで魔王を倒す予定のモンスターバスター その1

私は現在異世界で召喚勇者でチートでハーレムで俺TEEEE!!で間もなく魔王を『粉砕』する予定であります。

え?うらやましいですか…。それは『現場にいないから言える』話です!!。


(※ゆるコメ『ゴメラ VS モンスターバスター』の番外編で、主人公(私)が異世界でテンプレ通り?モテモテで無双する話です。 


看板に偽りは一切ありませんので、テンプレ通りの展開を思い切り楽しんでいただけると思います……多分……。

ちなみに第1話より時系列的に少し前の話になります。)



 私は間もなく魔王を倒す勇者一行のリーダーとして魔王城の眼前に来ております。


 メンバーは『異世界召喚勇者(暫定)』の私がリーダーで、私や他の勇者を召喚した第1王女で癒し魔法の達人『聖女』アリスがサブリーダーです。

 アリスは少しウェーブのかかった金髪を腰まで伸ばした癒し系の美女です。誰にでも優しく思いやりがあり、それでいて芯も強いという『聖女』の名にふさわしい女性です。


 パーティーの頭脳は『ハイエルフ』の魔術師のサーヤさんです。きれいな銀色のストレートの髪を膝下まで伸ばしており、一見繊細ではかなげな超絶美女です。

 各種精霊魔法の達人なだけでなく、理論魔法にも精通しており、冷静沈着な判断力と世界や魔族関連に対する知識も世界で随一なのだそうです。


 パーティのマスコットにして、ゴーレム使いのミーシャちゃんは、肌が褐色のかわいい系のロリキャラです。

 元魔王軍の幹部らしく最初はツンツンしてましたが、『肚を割って話をして説得』した結果、今では仲良くしてくれてます。怖がっているわけではない…と思いたいところです。


 たった数日間一緒に旅をしただけですが、パーティの結束力は非常に固いと感じます。

 …三人の私を見る視線が熱いような気がするのは…気のせいだと思いたいです。

 


 話は数日前に始まりました。



~~☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆~~



 『とある用事』で私は近所にある平成学園高校の文化祭に一人で訪れていた。有数の進学校である平成学園高校の文化祭は出し物のレベルの高さから近隣の高校や一般の人達が多数訪れていた。

 私はスマホでいろいろと確認しながら各部屋の出し物を覗きながら適当に時間を潰していた。

 そして、校庭に人が集まっていて何やらざわめいているところに出くわした。


 なんとなく嫌な予感がして、人の輪をかき分けて覗いてみると、中に三人の男女の生徒が立っているのが見えた。

 男性二人が少し距離を置いて、言い合いをしており、その間で女生徒がおろおろしていた。

 一人は眼鏡をかけた顔立ちの整った真面目そうな長身の男子生徒で、なにやら論理的に相手に訴えているようだった。

 もう一人は同じくらい長身だが、長髪の美男子で、サッカーのユニフォームを着ていた。

 眼鏡の男性の話を適当にはぐらかすようにひょうひょうと話を返しているようだった。

 女生徒は長髪の美女で二人の言い争いをはらはらしながら見ている。


 これは何が起こっているのだろうか?

近くにいる気の良さそうな女生徒に小さな声で尋ねてみる。

「何やら言い争いをされているようですが、なにがあったのでしょうか?」

 にっこりとその女生徒を優しく見ると、その子は少し顔を赤らめた後、小さな声で返事をしてくれた。

 「実は生徒会長さんと副会長さん。それに…。」


 ぶっちゃけると三角関係のもつれらしい。

 なんでも長身眼鏡の生徒会長と美人の副会長が友達以上恋人未満の関係にあり、そこへイケメンチャラ男のサッカー部部長が副会長に言い寄ってきたらしい。

 おっとり系の副会長が強く断れないで困っていた…のか、あるいはチャラ男に魅かれるものがあって、態度が明確でなかったのかは知らないが、そのことが今日の文化祭で発覚し、この騒ぎになったのだそうだ。

 …ええと、私にとってはどうでもいい話でした…。

 『頑張る乙女を応援する』のは私のライフワークですが、こういう恋愛関係がもつれた話はめんどくさいだけなのです。

 『ここは違ったか?』と思って立ち去ろうとした時、それが起こりました。


 なんと、三人の足元に唐突に光と共に魔方陣が現れたのです。

 私はとっさに女生徒だけでも対比させようと突っこんで、すばやく、その子を後ろに引き倒した時、光が私たちを包み込みました。


 そして、光が薄れた時に、私の傍に眼鏡の会長と、サッカー部部長が立っており、正面にはきらびやかに飾られた若いとてもきれいな女性が立っていた。

 そこは石造りの巨大な広間のようであり、女性の後ろには中世の騎士のような扮装をした人たちがたくさん武器を持って立っており、さらに背後には王様のように豪華な衣装をした偉そうな人、その近くにも何人か『俺は偉いぞ』オーラを出している人たちが立っている。


 会長とチャラ男が呆然としている中、目の前の金髪のとてもきれいな優しそうな女性が嬉しそうに口を開いた。

 「異世界から勇者様を召喚する儀式は成功したようです!

 すみません、勇者様方!大変勝手な願いだとわかっているのですが、私たちを魔王軍の侵攻から助けてください!」

 言い終わるなり、女性は膝をついて私たちに頭を下げた。

 なんてこったい!!ラノベ等で有名な『異世界勇者召喚』に我々三人は巻き込まれてしまったようです!!



~~☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆~~



 少しばかりもめましたが、結果から言えば召喚した女性、この国ガルーダ王国第一王女の『聖女』アリスの要請に『無理なく応え』て、魔王軍の侵攻を食い止めるために『できることをいろいろする』という話にまとめました。

 え?どうして、『まとめました』になっているかですか?

 はい、私が『もませて』私が『まとめた』からです。


 きれいで純粋な姫様の願いを受けて『正義感』か『下心』か知りませんが、一生懸命かなえようとする『会長』の熱意溢れる舌鋒を「われわれ高校生が大したこともできるかどうかわからないし」と上手に躱し、『勇者というステータス』に酔った上、こちらも『下心満載』のチャラ男君のプッシュも「まずは自分たちに何ができるのか知るのが先決」とさらっとかわしてこの結論を勝ち取りました。


 おかげで会長もチャラ男君も話し合いが終わった時は後ろの国王や宰相(後でわかりました)と一緒になって私を睨みつけてました。

 私はそんなことに気付かないふりをして涼しい顔をしてましたが。 

 アリス姫は私が丁寧に説明するのを心の底から納得してくれたようで、一番聞き分けがよかったです。


 そして、気になる『元の世界への帰還』ですが、『魔法技術』はあるのだそうですが、必要とされる物資が魔王軍の侵攻でそろえることができないので、撃退後、平和になったら無事に戻してくれるとアリス姫が約束してくれました。

 後ろで『黒いオーラ』をまき散らしている腹黒そうな国王様の発言だったらともかく、優しい人オーラ全開のアリス姫なので、信頼して良さそうです。

 ちなみにアリス姫は幼少のころから癒しの魔法・神聖魔法を習い続け、国内での最高の癒し手で『聖女』の二つ名で呼ばれることも多いそうです。


 話もまとまったところで、私たちの能力を鑑定するということになりました。

 よくある話のように、異世界から召喚されると、その時のショックで(生存本能が働いて)『潜在能力が開花』して、俗にいうチート状態になる…ことが多いのだそうです。

 そして、潜在能力の高い『勇者』を今回のように召喚する特殊な魔法を使ったのだそうです。


 張り切っていた会長は以下のように鑑定されました。

 アリス姫が鑑定の魔法を使うと、空中に字が浮かび上がったのです。

 ちなみにそれぞれの言語に頭の中で変換されて読めるようです。魔法スゲー!!


石清水いわしみず たけし 男  人間 17歳


レベル 3

HP 30 

MP 20


攻撃力:30

防御力:25

素早さ:25

知力 :25

精神力:25


剣術LV3

【魔法】火系LV2 土系LV1


【称号】

異世界勇者 魔法戦士



 なるほど、魔法が使えるようになったわけですね。ちなみに普通の人が能力が平均で『5』くらいなので、相当能力が高いそうです。


 会長以上にノリノリだったチャラ男君は以下のように鑑定されました。


大山おおやま すぐる 男  人間 17歳


レベル 3

HP 40 

MP 10


攻撃力:35

防御力:30

素早さ:30

知力 :10

精神力:25


剣術LV4 格闘LV3


【称号】

異世界勇者 剣士&格闘家



 会長と比べると物理戦特化なのですね。見ていてその場のノリでの行動がやたら多かったので、もう少しいろいろ考えてほしいな…と思っていたら、数値にも出てました


 で、いよいよ私です。あまり、いろいろバレるのはまずいよな…と思っていると以下のように鑑定されました。


石川いしかわ 瀬利亜せりあ 女  人間 17歳


レベル 高いような気がする

HP  すげー! 

MP  ありそうだけど、魔法は使えません。


攻撃力: 抜群だ!

防御力: ぼちぼちでんな。

素早さ: ビックリしまっせ♪

知力 : 知識はともかく、回転は速いでしょう…多分。

精神力:『 熱く燃え盛る正義の心がある限り』いくらでも続く…かもしれません。


古武術: なんと、黒帯なのさ♪


【称号】

巻き込まれた召喚者 スーパーなヒロイン 年齢=彼氏いない歴

【特記事項】

 なんとスーパーなヒロインとして覚醒したら、いろんな能力がめっちゃ上がりそう♪

 これで、どんなかいじんが出てもへっちゃらさ♪


 なんですか?!これは!!!人を馬鹿にしてるんですか??!!



 ぎぎーーと音を立てそうな感じで振り返ると、アリス姫は非常に困ったような表情をされ、会長とチャラ男君は…笑ってます。めっちゃ笑ってます!!

 その場で暴れ出さなかった自分を褒めてあげたいです!!

 ちなみにこの後、二人がこっそりと『お高くとまってやがったけど、彼氏もいないんだ』とか馬鹿にするように話すのを聞いた時はマジ殺意を覚えましたよ、ええ!!


 王様と宰相は微妙な表情をしてました。

 異世界勇者じゃなくて、『巻き込まれた召喚者』ですからね…。

 これはおそらく本来は『副会長』が召喚されるはずが私が結果的に身代りになったことと、異世界に召喚されたからといって、私の潜在能力がさらに引き出されたわけではないことから来ているのでしょう。

 なんで、潜在能力がさらに引き出されたわけではないとわかるかですって?ええ、それは追い追い説明していきますので、ご心配なく。


 そんなわけで、男性二人をメインの勇者として、私を姫のアドバイザーとして、異世界での日々は始まることとなりました。

 ちなみに姫のアドバイザーになったのはアリス姫の強いご要望からです。

 思えば、この時から『フラグが立っていた』のは後で気づきました。


(続く)

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