ポチとおさんぽとハードヴォイルド

@spe_sense

第7話「つまらない小説でも書こうかしら」

 この小説はフィクションです。


あらすじ


 2021年、遊技機業界はさまざまな要因から、衰退の一途をたどっていた。いろいろと灰色な部分がある以上、監督官庁としては〆続けねばならないし、社会的問題が発生したとなれば尚更である。


 とはいえ、歴史を持って続いてきたパチンコ業界はさまざまな組織、企業、人材を抱えている一大産業でもある。


 一時期の高射幸性の時代もゆるやかに過ぎ、20年前のそれと比べれば随分と穏やかになってきた、が、それを補うために営業形態が推移すると、娯楽の面は希薄となり、再び問題視せざるを得なくなっていく。


 そこに新型感染症による影響が影を落とした。


 監督官庁として従来の規制により衰退していた業界を潰やすことなく、維持しなければならない。



 なぜか。



 遊技機業界を監督する様々な組織、そこには監督官庁からの人材が登用されている。わかりやすく言えば、天下り団体。そこに口を糊する者たちがいる。


 その者たちは監督官庁での現役時代に、さらに上に立つ者たちの秀逸な部下であった者たちである。


 ギャンブルだから潰す、では業界が消滅するだけではなく、彼らの生活を破綻に導くことになる。また、違法営業な営業が跋扈してしまえば、監督官庁としての業務を圧迫する、本末転倒になることなく過ごすためには、必要悪の範囲で業界を維持させる必要があるのだ。


 だから、抜本的に無くす、という事はない。かといって、かつてのように繁栄することもまた、許されることではない。

 絶妙に維持することが求められる。


 そういった矛盾だらけの中に息づく、そんな人々に訪れる、時代の変化という「敵」との戦いをつぶさに描き出す、この物語はそういうお話である。

 

そして−−−


 政府は新型感染症対策により悪化した財政を立て直すべく、国庫への増収を計画した。

 その一貫として、普及の進まないマイナンバーカードの新たな需要の拡大、さらには不透明だった遊技機業界の金銭の流れをクリアにする、という課題を同時に解決すべく、新たな法案を提出し、その統合的な扱いについて検討を開始した。


 検討を行う法案から委員会の設立、試案の作成などが進み、2024年4月から試験的に、新たな遊技機の開発、設置、運用についての社会実験を開始することが決定した。


 現行の遊技機業界と並行する形となるが、監督官庁は警視庁ではなく、新設されたデジタル庁によるものとなった。


 これは、マイナンバーカードに遊技者を紐づけることによる、依存症対策の完全化(対策を行っている事の明確化によるエビデンスの捏造)と、入/出金をマイナンバーに連動する電子マネーで管理することとし、景品に対する課税や、利用金額に対するポイント付与などのサービスを実現するため、かなりの反駁をねじ伏せて強引にまとめ上げて法案化された。


 これは財政負担の穴埋めのために税収を増やす、という大義名分によるものと、デジタル庁の三代目大臣がかなりの実力を持った政治家が担ったためだが、この話には不要なので以降割愛する。


 とまれ、出だしからエンタメ性ゼロのまったく読者を放置する内容になっているが、このお話は、遊技機業界の変革、それに携わる人々のモノローグで構成されるものである。


 たぶん。


ここまで書いて飽きたw




モノローグ #01-1 ネットニュース記者 N.N氏

 「……法案について、具体的に説明、ですか?」俺はWebカメラに向かってそう言った。面倒だという感情を表情にのせないように気を配ったつもりだったが、自宅での緩み切ったテレワークの日々、ビジネスマナーの意識も薄れてしまっていたのだろうか……。

 「ややこしい話だから、面倒なのは理解していますよ、Nさん」ネットニュースのデスクはやや怪訝な表情で返した。彼はつづけて、

 「確かに、いままでの遊技機の概念からはかけ離れていますからね、むしろ全くの別物と言った方が早いでしょう。ただ、今までの遊技機とも共存するカテゴリもあるので、そこは比較して記事を書いて欲しいんです。だからこそ、Nさんに依頼しているのですから、よろしくお願いします。」

 と言われたところで、別にパチンコ誌のライター経験があるわけではない、趣味程度に興じている自分にしてみれば、畑違いもいいところなのだが。

 と言ったところで、コロナのおかげで自分の得意分野は壊滅状態。デスクもそんな俺になんとか仕事を振らなければならないと、この依頼に行き着いたのだろう。

 から、それを拒否することは、つまり干される事を意味する。社員でもなく、委託で記事を書いてナンボの商売である以上、快諾するを得ない。

 「わかりました、では具体的に……」デスクとの打ち合わせを進めて、このねじれきった、いわば国家の省庁同志の利権争いから生まれた複雑怪奇なシロモノの記事を書き始めた。

 

モノローグ #01-2 ネットニュース記者 N.N氏

 飽きたw 


モノローグ #02-1 ライター K.Y嬢

長文、イクナイw


モノローグ #03-1 店舗経営 A.R氏

読まないですー

学習は効率が重要ですー


モノローグ #04-1 メーカ開発 O.Y氏

忙しいので無理


モノローグ #05-1 コンサルティング会社経営 B.M氏

懸賞金を賭けて今日も朝から走ります!


もう書きませんよw


(終)

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