第6話初依頼
クエストボードの周りは大勢の人が集まっていた。そのなかを蒼太は縫うようにして通り抜け、ボードの前までたどり着いた。
ボードにはF~Aランクの依頼が数多く張り出されていた。蒼太が受けることのできるF.Eランクのクエストのなかで蒼太の目に留まったのは
・ゴブリン5匹の討伐 ランクE
目的地;トラント廃坑
追加報酬あり
というクエストだった。
蒼太はこのクエストを受けることにした。
トラント廃坑は王都を出たところにあるということだったので、蒼太は王都に2個ある門のうちの東門へ向けて歩き出した。
王都は以外に広く、蒼太が東門の前まで行くのに30分もかかっていた。
東門は間近で見るととても大きかった。
東門を出て30分位歩いた所にトラント廃坑の入り口はあった。
入り口は小さな丘の中腹にある洞穴だった。
洞穴のなかはそれほど暗くなく所々に松明が差してあったので照明もいらず進むことができた。
蒼太の進行方向になにか黒い人形のものが動いていた。
「ギギャアーー!」
ゴブリンが蒼太の目の前に飛び出してきた。「うおっ!」
蒼太に武器はなかったため素手で殴るしかない。
蒼太に殴られたゴブリンは道の真ん中から壁までふっ飛び叩きつけられていた。
「おおっ!?めっちゃ強いな俺‼」
呑気な蒼太であった。
「そういや、ただ倒すだけでは本当に倒したかどうかが分からないから討伐部位がいるって言ってたな。」そう言って蒼太は壁に叩きつけられて跡形もなくなりかけている、ゴブリンに近付いていった。
「これは討伐部位の耳の判別もできないな。それに、素手よりは武器があった方がいいだろうからスキル関係で武器がないかさがしてみるか!」
15分後…
・魔力剣
魔力を集めて剣の形にする。
切れ味は魔力依存
「これ使ってみるか。」
蒼太は魔力剣のスキルを発揮しながら奥へと進んでいった。
蒼太の尋常ではない魔力により形作られた魔力剣の切れ味はすさまじく、出てきたゴブリン達は蒼太の一振りにより動かない屍へとその身を変えていった。
蒼太により斬られたゴブリンの耳の数が3桁に届こうとしていた。
「おい!そこの平民!」
突如、蒼太の後ろから声が聞こえた。
「あぁ!」
蒼太は声のする方へ振り返った。
すると、こんな洞窟の中なのに華美な装飾のついた服を着た貴族然とした男と燕尾服をきた執事であろう男、首輪のつけられた少女がいた。
蒼太は少女の余りの美しさに言葉をうしなってしまっていた。
貴族風の男は蒼太が自分に驚いていると思ったのか、蒼太に向けて口を開いた。
「そこの平民、お前が持っているゴブリンの耳をすべて私に寄越せ!」
蒼太は男が何をいっているのか理解できずに固まっていた。男は蒼太の反応がないとわかると怒鳴りながらもう一度言ってきた。
「お前の持っているものを貰ってやると言っているのだ!」
「はぁ!?」
「貴族に向かってその口の聞き方はなんだ平民のくせして、生意気だぞ!」そう言って男は「炎の精よ、我に導く火を《ファイアーボール》」魔法の詠唱をし此方に火球を放ってきた。
蒼太は未だに少女に見とれていたため、火球
に反応できずに直撃してしまった。
「ざまぁみろ!平民ごときが貴族に逆らうからこうなるんだ!」そう言って男は笑っていた。
「そっちから攻撃してきたんだからこっちも正統防衛で反撃しても大丈夫だよな。」蒼太の声が聞こえたため、笑いは止まっていた。
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