第1章 脱獄不可能な刑務所
俺の名は新田春人(にったはると)。今年で27になる。投獄されてから丸3年、無罪をずっと主張してきたが誰ひとりとして信じてくれない。雇っていた弁護士からも既に見放されている状態だ。
監獄というと何か豚の餌みたいな食べ物や、恐い囚人にボコボコにされたりといったアニメや映画みたいな事はまだ起きていない。すっかりこの刑務所にも慣れてきたし、住めば都とはまさにこのことかもしれない。今では同じ部屋に4人の友と呼べる仲間がいる。みんな本名でお互いの名を呼ばずに、あだ名で呼びあっている。もちろん前にやっていた職業を話す奴も1人もいない。俺のあだ名は、オルゴール。今回の事件の事を話したらこうなった。正直あまり気に入ってないが他に案が無いため仕方がなくオルゴールに決めた。でもオルゴールは長すぎるからみんなからはオルと呼ばれている。俺の囚人仲間もみんなあだ名が決まっている。1人は人形(ドール)もう1人は金(マネー)、殺人鬼(デストロイヤー)、最後に火(ファイヤー)だ。この中で一番の古株はデス(デストロイヤーの略)だ。次にファイヤー、マネー、俺、ドールの順番で入ってきた。俺達5人が仲が良いのはちょっとした理由がある。それはみんな身に覚えのない事件に巻き込まれているのだ。みんな無罪を主張しているのだが誰も聞く耳をもたない。何故ならみんな決定的な証拠を抑えられているからだ。ドールは、「幼児誘拐殺人事件」の犯人として捕まった。無罪主張して、アリバイだってあるのに現場に落ちていた人形に彼の指紋が付着していたため判決が下った。マネーは、詐欺事件で捕まった。被害にあった人達がみんな口を揃えて同じ証言をしているのだ。ファイヤーは「連続放火魔 」、デスは「連続通り魔事件」で捕まっている。事件の種類は違うがみんな自分の知らない事件の犯人にさせられている。彼らの特徴はドールはとにかくデカイ、身長2mは超えている。マネーはいつも目の下にクマがある。ファイヤーはデブ。デスは顔が見えないくらいの髭を生やしている。なぜこの5人が捕まったのかは、分からない…
脱獄犯 天城 渚 @SI-SA-
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