Happiness 幸福というもの
設樂理沙
第1話『Happiness 幸福というもの』 加筆修正2021.9.5-91
最新版☑
黒崎あかね 37才 市役所勤務
元夫 紺野 翔太 37才
・ 25才~30才までふたりは結婚していた。
笠原 竜 司 33才
・ 1年前32才の時に中途採用で市役所採用となる。
笠原 政恵 59才 (母)
笠原 茂 65才 (父)
笠原 稔 36才 (兄)
知沙子 36才(義姉)
あかねの課の課長
設樂 灯(ともる) 40才
真智子 38才(妻)
設樂 慎一 35才(弟)
元妻 ひかる 32才(元義妹)
笠原 竜司の同僚で合コンセッティング担当
倉本 裕也 33才
倉本がアタックした相手
山口 まさみチャン 22才
。、:*:。.:*:・'゜☆。. :*:・'゜★。、:
1.
" Charming Woman 素敵な女性 "
今日の笠原竜司は少し緊張していた。
黒崎あかねとの交際をあんなに反対し頑なに会うことを
拒んでいた母、政恵が、初めて会ってみてもよいと言い、この度
あかねと母との顔合わせが実現するからだ。
会いさえすれば気立ても良く仕事もでき、テキパキ立ち振る
舞いのできるあかねのことはきっと気に入ってもらえると思っ
ている。
これまで散々反対されてきてどうなることかと思ったが、気長に
説得してきて良かったとしみじみ感慨に耽る竜司だった。
33才の竜司は学生時代にガールフレンドはいたけれど
これまで結婚を意識して付き合った相手はあかねが初めて
だった。
遡って高校、大学と理系は男子ばかりだったため、自然女性と
知り合う機会が極端に少なかった。
就職してからも同じようなもので、以前勤めていた職場に
妙齢の女性は皆無だった。
一年前にこちらの役所に中途採用されたのだが、今の職場も
自分の所属する土木には圧倒的に女性が少ない。
唯一の救いは別の課の事務方には大勢女性がいることだ。
今の職場にいる土木課にひと月に一度は異業種の合コンを
セッティングするマメな男がいた。
もちろん灯台下暗しで同じ職場の事務方とも2~3ヶ月に一度
は飲み会やらカラオケ大会という名の下に合コンもどきが
開催される。
そんな合コンを待ち侘びる独身者達の救世主の名は、倉本裕也
という。
男女ともに友人の多い奴で、正直出会いをどこに求めて
よいのやら途方に暮れる独身者達からは、かなり
感謝されている。
竜司もそんな中のひとりだ。倉本よ、ありがとう!
あかねと出会えたのはひとえに倉本のお陰だ。
黒崎あかねは独身といってもバツイチという経緯もあり
合コンに参加することはほとんどなかった。
だがたまにメンバーのドタキャンがあった時には緊急要員として
借り出されることがあった。
はっきり言ってチャーミングで仕事ができ、気立ての良い
バツイチ37才のあかねはモテる。
そんな数少ないチャンスであかねと話す機会を得た竜司は
いつしか彼女に魅了されていった。
声と話し方がとても良い。
こう、一言ひとこと聞き逃したくないと思ってしまうほど
耳に胸にジンジンしみ込んでくるのだ。
話している時の笑顔、表情もとても素敵だ。
自分から動いてみたい、と思ったのは久しぶりのことだった。
倉本の話によると仕事も出来、離婚後は何かと男に言い寄ら
れることも多いようだが浮いた噂もなく、気配りの出来る
真面目な女性らしい。
そんな風なあかねの情報を、知り合う前に竜司は仕入れていた。
その頃、上手い具合に倉本にも意中の彼女がいた為、2組
のカップルでカラオケデートなどして竜司はあかねと少しずつ
親交を深めていった。
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