mariiva

@satotyannkku

第一章 mariiva

その日私はとある噂を聞いた。

私の通っている学校には外人の女の子がいたらしい。


なまえはマリーヴァちゃん。


その女の子がこの学校でいじめにあっていたらしい。

それも酷いいじめだったようだ。


「マリーヴァなんてへんな名前ね」

「金髪だから?自慢でもしてるの?」

「気持ち悪い、近寄らないで!!」


毎日浴びせられる罵倒にマリーヴァちゃんは耐えたんだと。

三年間ずっと。ずっと。


そんなマリーヴァちゃんは卒業式の日、自殺したんだって。




いじめっ子と一緒に……





~放課後~


「まなみ~ん!!か~えろ~うよ~!!」

「あ、う、うん!今行くよ!」


冬が過ぎて暖かいものだからついうとうとしていた。

クラスメイトの綾香に声をかけられてはっとする。

どうやら眠っていたようだ。


「あ、まなみんはマリーヴァちゃんの話知ってる!?」

「そんなの皆知ってるもんじゃない?うちの学校の七不思議にも入ってるのに…」

「もー!!ち~が~う~!!」


いつもの用に変な伸ばし方をして綾香が言う。


「なにがちがうのさ」

「まなみんが言ってるのは話だけでしょう?」


少し綾香はためてから静かに言った。


「マリーヴァちゃんが死んだのはB棟の廊下。」

「え!?廊下!?」


私たちの間ではまったく使われていないB棟廊下。

唯一使っているとすれば保険教師の夜野先生くらいだ。

学校一の変わり者と呼ばれているが、顔もスタイルも言うことなし!

ひっそりファンもいるものだ。


しかし、何事にも興味を示すことが無く、恋愛経験はゼロ。


なぜこんなに知っているかと言うと、ひっそりファンの中の一人が私だからだ。


「それからね!今日肝試しに…」

「は!?ぜっっっっったいやだかんね!!!」


綾香の話をぶった切って否定した。


「え~!!いいじゃん!一回だけ!ね!」

「綾香だけで行けばいいじゃんけ!!」


てんぱって日本語がおかしくなる。

必死にねばっているうちに外は暗くなっていた。

もう五時をまわっている。


「綾香が変なこと言うから怖くなっちゃたじゃん…さっさと帰ろうよ~…」

「仕方ないなぁ~…これを使うしかないかぁ…」

「…?何それ?」


綾香のかばんから少し長めの封筒が出てきた。

茶色っぽい封筒は赤色のシールでとめてある。

綾香はこちらの様子を伺いながら楽しそうにこう言った。


「夜野せんせーの居眠りしゃしーん!」

「はっ!?」


いつも表情を変えない夜野先生の珍しい寝顔……

私は恐怖より先生のほうが勝ってしまった。


「ほしい~?」

「欲しい!超欲しい!!」

「じゃ!決定!肝試しだ!!」

「う……仕方ない!行けばいいんでしょ!」

「そう来なくっちゃ!!」


私たちはこのときまだ恐怖を知らなかった。

このとき断っていれば…


Hello mariiva

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