第43話
女王記念祭でウェインさんが買った荷物を異空間に入れた後に近くのクレープ屋で椅子に座ってクレープを食べていると妙な話が耳に入った。
目の前で男2人が話をしているのを偶然聞いた。
「女王記念祭の3日目に怪盗ルブジオンが夜に女王の秘宝である王家のペンダントを狙うって話本当かな?」
「城の兵士の話じゃ予告上が届いたとか」
「マジかよ。だとしたら大変なことだぜ」
男達の話はそのまま雑踏に消えていった。
「ウェインさん聞きましたか?」
「ああ、ふとどきな輩がいるものだな」
「帰ってシフォンさん達に報告しましょう」
「そうだな。ランジュやキースにノヴァ達とも会うのも久しぶりだし、それも兼ねて城へ行くか」
俺とウェインさんと忘れられている護衛の人も連れて、俺達は城へ戻った。
護衛の人が衛兵に事情を話して、そのまま城に入った。
護衛の人に政務室を聞くとそこに向い、ランジュさんに事情を話した。
「ウェイン。まさかあなたが女になってるのが、予告上よりも驚きだわ」
「そんなに驚くこともないだろうランジュ。今までの旅だって色々あったしな」
「それは確かにそうだけど、まさかあなたが女性になっているなんて思わなかったから」
「そんなことより怪盗ルブジオンのことだ。女王の身に何かあってはならないだろう」
「ええ、兵士たちにも警備をいつもより厳重にしているわ。ただの悪ふざけならいいのだけれど」
「ウェインさんも女王の近くにいたらどうですか?それが1番安全そうだし」
「山城。それは何故だ?」
「だって闘神ウェインが近くにいたら怪盗ルブジオンも怖くて諦めるんじゃないですか?」
「それは良いアィディアね。怪盗ルブランジュは夜に現れるからその時間帯にウェインを女王の間に案内しましょう」
ランジュさんが納得してくれた。
「ランジュ私は護衛はとても退屈で嫌だ」
「ウェイン。あなたはいつも自由に振舞っているから、たまには護衛をして国を守る真面目さを持つべきだわ」
「何で私もストーンカ国の一員のように扱われるのだ?ただの冒険者だぞ」
「私たちの仲間なんだから協力しなさい」
「ぐぬぬ」
ウェインさんは見事にランジュさんに言いくるめられてしまった。
「山城も一緒じゃダメか?」
「なんでナチュラルに俺も含まれるんですか?」
「退屈だから話し相手が女王だと間が持ちそうにないし、山城となら気軽に話し相手が出来るしな」
「ジェネレーションタワーにいた頃から俺はウェインさんの話相手に変わりはないんですね」
「そんなことないぞもう仲間と呼べるくらい付き合いもあるじゃないか」
「まだ日は浅いですけどね。ていうか俺の世界だと戻ると時間まで戻るから会って2、3日程度の付き合いじゃないですか?」
「細かいことは気にするな。私の世界だともうちょうど1か月になるではないか」
「それは確かにそうですけど、なんか納得いきませんね」
「ウェイン1人に任せるのは確かに不安だから山城君も出来れば一緒に女王の護衛をしてくれないかしら?」
ランジュさんに頭を下げられて頼まれてしまった。
紙幣まで貰ったわけだし、協力しないわけにはいかないだろう。
「わかりました。夜になったらウェインさんと一緒に女王の護衛をしますね」
「ありがとう山城君助かるわ」
こうして俺は女王の護衛を任されることになった。
「山城。一応戦闘になるかもしれないから戦闘の稽古をつけてやる」
「ウェインさんそれならどこでやるんですか?」
「ランジュ空いている部屋はあるか?」
「城の地下なら倉庫代わりに使っているけど、あそこ広いから闘えるスペースはあると思うわ」
「よし山城。行くぞ」
「でも俺なんか訓練してもあまり役には立てませんよ。それに訓練で体力消費していざ女王の護衛の時に俺がヘトヘトじゃまずます意味がないと思いますよ」
「軽くだ。軽く」
「ウェインさんの軽くはハードそうだな。ところでランジュさんとシフォンさん以外の仲間には会わないんですか?」
「そうだな。訓練前に会ってくるか。山城は先に倉庫に行って待っていてくれ」
「長くなるようでしたら部屋に戻りますからね」
「シフォンには女になっていること言ってあるならもう2人にもは解っているかもしれないわね」
ランジュさんがそう言うとウェインさんはがっかりしていた。
「何だ、驚かせてやろうと思ったのに残念だな」
「ウェインさんそれじゃ俺は倉庫に行きますね」
「ああ、待っててくれ」
俺はそのまま槍をぶら下げて倉庫に向かった。
倉庫の場所はランジュさんに聞いていたので、言われたとおりの場所に向かった。
倉庫はとても広く荷物が少なく感じた。
ちょうど広めの場所があったのでそこで座って待つことにした。
俺の槍のレベルなんてメイジゴブリンしか倒せないけど、そんな俺が役に立つのだろうか?
そもそもウェインさんの相手になるだけだから訓練する意味ないんじゃないか。
何考えているんだウェインさん。
「山城待たせたな」
「案外早かったですね」
「2人とも反応が薄かったからな。飽きてすぐに倉庫に行った」
「それで特訓って何やるんです?やっぱり槍の稽古ですか」
「いや魔法の練習だ」
「俺魔法なんて使えませんよ。どうするんですか」
「私の魔力を山城に少しだけわける。そこに座って目をつぶってくれ」
俺は言われた通りウェインさんの指定された場所に座って目を閉じた。
「私が良いというまで目を開けてはいけないぞ」
「もし開けちゃったらどうなるんですか?」
「最初からやりなおす羽目になるから面倒だ」
「わかりました。準備オーケーです。いつでもどうぞ」
魔法かちょっと楽しみだな。
俺にも魔法が使える日が来るなんて思いもしなかった。
ウェインさんの呪文を唱える声が聞こえる。
俺はただ目をつぶってそれが終わるのを待っていた。
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