第7話

 俺が学校から帰ると部屋に戻り、召喚魔法でやってきた女版ウェインさんに出会った。

 見た目は金髪の美少女だった。

 しかも身長は小さかった。

 ウェインさんだと言わなければ誰だろうと言うくらい外見は変っていた。

「山城、なんとかならないだろうか?」

「俺に言われても…」

「力が前より少しだけ弱くなっているんだ」

「じゃあもう塔登るのはあきらめた方がいいんじゃないですか?」

「いや、あと9階登れば力が手に入るし」

「それなら多少きつくなりますけど、登っていくしかないですね」

「ぐぬぬ」

 ウェインさんは悔しがりつつも納得したようだ。

「でも、どうしてそうなったんですか?」

「塔の中に泉があってそれを飲んだら体に異変が起きたんだ」

「塔に泉がある時点で怪しみましょうよ」

「すまない」

「俺に謝られても困ります」

「弱体化して体が女になった以外は毒もなかったからそこまで問題ではなかった」

「それは不幸中の幸いでしたね。あの、ウェインさん…」

「なんだ山城?」

「そろそろ学校の宿題やらなきゃいけないんで塔に戻ってくれませんか?」

「そうか、なら私は塔に戻ろう」

 今日はあっさり引き下がったな。

「それでは、次は頂上に登ったっ時にまた来よう。パーイチャイチャイ」

 ウェインさんは変なセリフを出して、そのまま消えていった。

 さて、俺も宿題をやろう。



 ウェインさんがいなくなってからだいぶ時間が経った。

 だいたい3週間ほど経過していた。

 いつもどうりの日常に戻っていた。

 今思えば不思議な関係だったなと思う。

 友達ってああいう人のことを言うのだろうか?

 小学校の時の友達は今は連絡をとっていない。

 中学の時の友達は高校にもいるが、相変わらずノートの貸し借り以外は基本的に話さなかった。

 家に招待した友達っていたっけっか?

 いや、いなかっただろう。ウェインさんだけだな。

 今頃ウェインさんはジェネレーションタワーとかいう塔を最上階目指して登っているのだろう。

 登り終えたらどうするんだろう?

 ウェインさんの新しい冒険が始まるのだろうか?

 一緒に冒険…しても仕方ないか俺じゃあ足手まといだろう。

 男に戻るための旅をするんだろうか?

 弱体化したって言うし、そうなるだろうな。

 俺はそんなことを考えながら家で宿題をやっていた。

 母さんからウェインさんはどうしたの?っと聞かれることが辛いようにも思えた。

 俺は国に帰ったんだと嘘をついてその場をごまかすことしか出来なかった。

 なんだかそれが妙に寂しく思えた自分がいた。

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