第8話

ミサ「いや~終わった終わった」


ミサ「学校ってのはあっという間に一日終わっちゃうとこだね」


「・・・お前は何を一生懸命勉強した感を出しているんだ」


「俺の机半分占領してぼーっと漫画の表紙眺めてただけだろ」


ミサ「君は僕のことを誤解している」


「俺は見たまま、聞いたままを言ってるだけだ」


ミサ「だから誤解しているというんだよ」


ミサ「僕はぼーっと漫画の表紙を眺めてたんじゃない」


「ほう・・というと?」


ミサ「僕は一生懸命漫画の表紙を観てたんだよ」


「・・そんなに変わらんだろ」


ミサ「だーかーらー」


ミサ「僕は今日一日一生懸命学生生活を満喫したんだよ」


ミサ「授業中いっぱい寝たし漫画も読んだのだ」


「そもそもそれが大いに間違っているのだが」


ミサ「僕は一言も一生懸命勉強するなんて言ってないぞ」


ミサ「学校生活を満喫すると言ったのだ」


「はいはい」


ミサ「だいたい見えるもの、聞こえるものだけで」


ミサ「真実がみえるわけがないのだ」


ミサ「むしろ見えるもの、聞こえるものの中になる%$&#△♪・・・」


「わかったわかった」


「一生懸命学校生活満喫したな」


ミサ「わかればいいのだよ」


「こんなんで納得するのかよ」


ミサ「あ」


ミサ「多陀君がこっち来るね」


「・・・」


多陀「・・・」


ミサ「すれ違っただけか」


ミサ「お互い声かけないんだね」


「あー、そんなもんだろ」


「俺もそうだけど、あいつもどうしていいかわからないんだろ」


「たぶんあいつも同じこと考えてるよ」


ミサ「ふーん・・」


「特別何が変わるってことはない」


ミサ「ふふ、なんだか・・ねぇ」


「何がおかしい?」


ミサ「なーんにもー」


「・・今更だけど・・」


ミサ「ん?」


「変な奴」


ミサ「ま、いいじゃないか」


「ま、いいけどな」


「さて帰るとするか」


ミサ「お、一日の学校生活の締めくくり」


ミサ「かの有名な下校だな」


「家帰るだけで何をたいそうな・・」


ミサ「かの有名な寄り道を所望する」


「え?めんどくせ」


「先帰ってるから寄り道でもなんでもしてこい」


ミサ「何を言ってるんだーーーーー」


ミサ「僕は制服着てないんだぞ」


「だから?」


ミサ「制服着てないのに一人でぶらぶらしても」


ミサ「寄り道にならないじゃないか」


ミサ「それはただのお出かけじゃないか」


「じゃ、一人でお出かけしてこい」


「存分にお出かけしてこい」


ミサ「やだ」


ミサ「寄り道がしたい」


ミサ「お出かけはお出かけで別でする」


ミサ「正式にお出かけする」


「なんだ、その正式なお出かけというのは」


ミサ「とにかく今日は寄り道がしたい!」


ミサ「せっかくの下校なんだぞ!」


ミサ「登校ではできないことなんだぞ!」


「あーーーーわかったわかった」


「ちょっとだけ本屋寄って帰ることにするから」


ミサ「おーーーーーやったね♡」


ミサ「絵に描いたような寄り道だね♡」


「・・なんか俺のこと馬鹿にしてないか?」


ミサ「そんなことない、そんなことない」


ミサ「上出来、上出来」


「・・なんかなぁ・・」


ミサ「さぁ、帰ろ♡」

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