第6話
「あれ?ここ・・」
ミサ「君の学校の屋上だよ」
「マジか!?」
「っておい、あそこ」
ミサ「あの子だね」
ミサ「飛び降りようとしてる」
「!!!」
「あいつは!!」
ミサ「どうしたの?」
「同じクラスの多陀(ただ)・・」
「なんであいつが・・」
ミサ「お友達?」
「むしろ逆だな・・」
ミサ「逆?」
「友達いないっていっただろ?」
ミサ「言ってたね」
「・・あいつのせいなんだ」
ミサ「どういうこと?」
「俺も入学当初は普通の学校生活送ってたんだよ」
「俺は愛想がいい訳じゃないけど」
「それなりに何人かとは仲良くやってたんだよ」
ミサ「それで?」
「俺は俺なりに学校生活を普通に送ってた」
「そこに多陀が転校してきたんだ」
「あいつは社交的で明るくてすぐにクラスに馴染んでいったよ」
ミサ「いわゆる人気者タイプだね」
「そうだな。ただ・・」
「なぜか俺だけは最初から目の敵にされてるような感じだった」
「俺だけは初めから徹底的にあいつに無視されてたよ」
ミサ「勘違いじゃないの?」
「俺もはじめは気にしてなかったし、そう思ったこともあった」
「でも露骨にそれが続くとさすがに周りも気づき始める」
「その頃にはあいつはクラスでも中心的な存在になってたから」
「俺のほうがクラスで一人浮いた存在になってたんだ」
ミサ「そうされる理由は?」
「わからない」
ミサ「何気にとった君の行動が原因ということは?」
「全く思い当たらないんだ」
「今では俺はクラスに居て居ない存在なんだよ」
「俺と仲良くしてたやつもみんな俺から離れていった」
「俺と一緒にいたらクラスからはみ出た存在になってしまうからな」
ミサ「そんなことがあったのか・・」
「あいつは友達もいっぱいいて、毎日楽しそうで・・」
(それに比べて俺は・・)
「俺はあいつが嫌いなんだ!」
「あいつさえいなければ俺は・・俺は・・」
(あいつがいなくなれば・・)
(いなくなればそれで俺の何かが変わるのか?)
(本来ならここでは死なないあいつが何かの理由で死んでしまう・・)
(あいつに何があったかは知らないが)
(ここで俺が何もしなければあいつは・・)
(そう、あいつは今俺が何もしないだけでいなくなるんだ)
(予定にない死だからって)
(俺があいつのこと救ってやる必要ないんじゃ・・)
ミサ「・・・」
「なぁ・・」
ミサ「ん?」
「あいつのこと助けないといけないのか?」
ミサ「当たり前だっ!!!」
ミサ「人が命の終わりを決めていいわけないだろっ!!!!!」
「!!!!!」
「たしかに・・な」
「お前たまにすばっとすごいこと言うよな」
ミサ「わかればよろしいっ」
ミサ「そうやってすぐに自分の悪かったところ認めて」
ミサ「切り替えれるところは君のいいところだ」
「あいつがどうこうというわけじゃないけど」
「お前の言ったことは真理だと思う」
「ありがとう」
「とりあえず今は」
「本来死ぬ予定にないやつを救うことだけ考えるか」
ミサ「そうそう、それでいい」
「行くぞ」
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