第4話

犯人「全員動くな!」


(どうやら俺たちが入ってきたところはみられてないみたいだな)


「犯人銃持ってるし・・」


「隅のほうに固まって座り込んでる人が何人かいるけど」


「犯人に銃突きつけられてるあの女の人が危ないんだよな?」


ミサ「うん、あの人だね」


「おい、そもそもこれって予定にない死なのか?」


ミサ「たぶん、本来なら死なずに解放されるはずが」


ミサ「何かのハプニングで死んでしまうんだ」


「何が起こるかはっきりとはわからないんだな?」


ミサ「何が起こるか決まってればそれはイレギュラーじゃないだろ?」


「たしかに・・」


犯人「おいっ、お前!何ボソボソ言ってるんだっ!」


「いや、なんでも・・」


犯人「早く金持ってこいっ!こいつがどうなってもいいのかっ!」


「お前ならどうする?」


ミサ「僕なら・・」


ミサ「まずあの銃を使えないようにして・・」


ミサ「犯人を失神させる」


「どうやって?」


ミサ「能力で」


「・・今の状況での話を聞いてるんだ」


ミサ「そうだよね」


ミサ「とりあえず勇気だして」


ミサ「自分を信じて」


「お前が口しか出せないということが実感としてよくわかった」


犯人「!!黙れっ!」


(!!撃ってきたっ!!)


犯人「次は殺す!!」


(威嚇か、マジでびびった・・天井でよかったが、次は本当に狙われかねない・・)


犯人「早く金持ってこないとマジで一人づつ殺すぞっ!!!」


(やばいな・・犯人相当気が立ってる・・)


(これなら本当は撃つ気がなくても勢いで撃ってしまうんじゃ・・)


(きっと最初にここから逃げ出せた人が通報はしてるはず・・)


(警察が踏み込める時間を稼ぎさえできれば・・)


「あのー」


犯人「あ!?!?!?」


「こんなことしてもきっと逃げらんないっすよ」


「その女性離してせめて誰も傷つけなかったら」


「少しは罪が軽くなるんじゃないですか」


犯人「お前さっきからゴチャゴチャと・・」


犯人「死にてーのかっ!!!」


「う・・」


「痛っ」


「マジか・・腹・・撃たれた・・」


犯人「は・・はははっ!」


犯人「いいかっ!?お前ら全員俺に逆らったり勝手に動いたらこいつみたいに・・」


犯人「!?」


「!!!!!!!!!」


「痛ったー!」


「血とか出てるし!」


「ほんですぐに傷治るしっ!」


犯人「な・・お前、なんで!?ち、近寄るな!!」


犯人「死ねーーーーーっ!!!」


カチッカチッ


「あー痛っ!」


「あんたも俺で助かりましたね」


犯人「な、なんで・・」


「さっき死にたいのかって言ってましたよね?」


「死にたいからこんなことやってるんですよ」


(死ねないの忘れててびびってしまったけど)


犯人の弾切れの直後武装した警察が次々と踏み込んでくる


銃を向けられた犯人はあっさりと持っていた銃を捨て両手をあげ取り押さえられた


警察「君、大丈夫かっ?」


「あ、大丈夫です」


警察「外から見る限り撃たれたように見えたが・・」


「俺も撃たれた!と思ったんですけど」


「当たってなかったみたいです」


警察「けがはないんだな?」


「はい、この通りなんともないです」


警察「よかった・・」


警察「しかし!」


警察「無茶をしすぎだっ!」


警察「みたところ学生のようだが・・」


「はい、高校生です」


警察「家にはこちらから連絡を入れておくから、署で詳しい状況を聞かせてくれないか?」


「わかりました」


警察「そうそう、その前に人質にとられてた女性が君にお礼を言いたいそうだ」


「お礼?」


女性「ありがとうございました」


「いや、お礼だなんて・・」


女性「私もう怖くて怖くて・・」


女性「少しでも抵抗したら殺されると思うと・・」


女性「あなたの勇気ある行動に助けられました」


女性「本当にありがとうございました」


「いや、そんな・・」


「俺もどうしていいかわかんなくて・・」


「でもなんとかしなきゃと思って・・」


「な?お前もそうだろ?」


女性「??お前って・・誰ですか??」


「あぁ、こいつも俺と一緒であなたを助けたいと思ってたんです」


女性「こいつって・・誰もいませんけど・・」


「え?」


ミサ「あー、僕のことは誰にも見えてないし聞こえてないよ?」


「え!?」


ミサ「だからその『え!?』も周りの人からしたら君の独り言にみえてる」


「!!!」


(完全にやばい人じゃん)


ミサ「そうだよー。独り言ブツブツ言ってるんだもん」


ミサ「そうやって思ってることも僕には実は伝わってる」


(お前そういうことは早めに言っとけ!)


(ってことは・・)


ミサ「うん、撃たれた時怖かったね~」


(やっぱばれてる・・)


ミサ「なんで撃たれた時怖かったんだろうね?」


(!!!!!!!!!!!!)


(死ねないのを忘れてたからなだけだ)


ミサ「ふーん・・」


(お前が衝撃的なこといきなり言うからわすれてた、お礼言われてるとこだった)


「あ、ごめんなさい。誰もいませんよね?」


女性「とにかくあの・・またお礼に伺いますので」


警察「そろそろお二人共署で詳しい状況をお聞かせ願いませんか」


「あ、はい」


警察で詳しい状況を説明した後、俺は帰宅した


「ふ~、なんか疲れた」


ミサ「お疲れさま、よくがんばったね」


「何がなんだかわからんまま終わってただけだ」


ミサ「そうでもないんじゃない?」


ミサ「君かなり冷静だったと思うよ」


ミサ「僕ちょっとびっくりしたもん」


ミサ「普通はもっとパニックになりそうなもんだけど」


ミサ「あぁいう状況で冷静に考えられるのはすごいことだと思うけど」


「結局は撃たれても死なないのに犯人がびびって」


「弾切れしちゃっただけなんだがな」


ミサ「結果よければすべてよしっ」


ミサ「ほめてつかわそう」


「えらそうに」


「もしかして冷静でいられたのは横にお前がいたからかもな」


ミサ「お、素直だねー」


「どうせ心の中で思ったことばれるんだからな」


ミサ「そうなのだよ。そして僕が心の中で思ったことは君にはわからない」


「どういうことだ?」


ミサ「深い意味はないよー。そのままのことだ」


「なんか不公平だが・・仕方ない」


「っと、待てっ」


「必死だったからなんとも思ってなかったが」


「俺が飛んだように周りには見えてるよなっ」


「ま、お前が見えてても飛んでる時点でおかしなことになるが・・」


ミサ「あー、あれは大丈夫」


ミサ「体感的には周りが見れるくらいのスピードだけど」


ミサ「周りには一瞬くらいの速さだから」


ミサ「なんて説明したらいいかわかんないけど」


ミサ「一瞬で移動してるけどすんごい動体視力で周りを見れて」


ミサ「思考すごく速くなってる感じ?」


ミサ「移動は一瞬だけど移動してる間は普通の時間の感覚と同じというか・・」


「わからんに決まってるじゃないか」


ミサ「ま、要するに周りからは見えてないよ」


「なんかわからんがよかった」


「ネットで飛べる人とか晒されたらもう外歩けない」


ミサ「ま、とにかく今日はお疲れさま」


ミサ「ゆっくり休んでね♡」

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