死にたがりの俺と死なせてくれない僕

ぜぷ

第1話

このまま死んでしまおう


このビルの高さなら落ちれば確実に死ねる


助かることはない


あと30cm両足を前に移動させるだけで楽になれる


これ以上楽しいことは起こらない、それと引き換えにこれ以上嫌な思いをすることのない世界


遥か下に見える世界は少し前に踏み出せば行ける世界


すべてが無くなる世界まであと30cm前に出るだけ


全く恐怖がないわけではない


ただ、思ったほど怖くもない


周りの奴らは言うんだろうか


「そんなことで」


とか


「なんで相談してくれなかったのか」


とか


ショックを受けたフリをする奴とか出てくるんだろうか


自分は悪くないってアピールする奴とかも出てくるんだろうか


どうせ人なんてみんな自分を守るために平気で他人を犠牲にするじゃないか


俺も自分を守るためにここから落ちるんだ


そうだ、俺は自分を守るために・・


!!!


風で落ち・・る・・


・・でも


これで楽になれる


これでやっと嫌な思いをせずに済む



俺はこの世からいなくなる


やっと…




      オワル



     

???「ちょっと待って!ちょっと待って!!」


「???」


「いや、待つも何も俺たしかにビルの屋上から落ちたんだけど・・」


(なんだ、この女?意味わかんないし)


???「とりあえず落ち着こ!ね?とりあえず落ち着こ!」


(それはお前だっつーの)


「・・・色々わかんないけど・・とりあえず、あんた誰?」


(死ぬ前って昔のこと色々思い出すとか言うの嘘なのか?)


(知らない女が出てくるとか聞いたことないし)


???「あー、そうだねー。色々わかんないよね」


???「僕はねー・・」


???「僕はねー・・」


???「・・僕は誰だ?」


「知るかっ」


???「怪しい者じゃないの!決して怪しい者じゃないのっ!!」


「怪しいとか怪しくないとかそういうレベルじゃないわっ」


???「なんて説明していいかわからないんだけど・・」


???「んー・・天使?・・みたいなもんかな?」


???「うん、それだ!天使だ、天使だ」


「なんではっきり言いきらないか気になるところではあるが・・天使・・」


(なんか周り真っ暗だし・・もしかしてここって死後の世界?)


「説明希望」


天使「そうだよねー、何から話したらいいんだろ・・」


天使「このままってのもなんだし一旦ビルの屋上に戻ろうか」

     

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