相方と私

武野 踊

第1話 弁当と相方と私

それは二人がセミダブルのベッドに入って、寝室の電気を消してからの会話。

私「ボクの考える幕の内弁当!」

相方「ほう」

私「ご飯は俵っぽく8つに区切ってある」

相方「固めがいいな」

私「黒ゴマがかかっていて、真ん中にカリカリ梅がある」

相方「ほう。おかずは」

私「塩鮭だ」

相方「白身の西京焼きとかでなく?」

私「塩鮭。やや薄くて辛いやつ」

相方「いいね。ほかは?」

私「んー、煮物がある。こんにゃくを結んだのと人参としいたけ。味は薄め」

相方「ずいぶん昭和感が……」

私「揚げ物はイカリングでもいいけれど、ここはあえて串カツにしたい。たまねぎと豚」

相方「衣厚めで」

私「厚めで」

相方「となると入っているのはソースだな」

私「うむ。お魚じゃないやつ。円柱のやつ。ふたが赤いやつ」

相方「お茶はふたがコップになってる小さいの」

私「溢れる昭和感」

相方「漬物には、ピンクのやつ」

私「ああ、あの大根だろうな?たぶんな?と思われるあれ」

相方「あれ」

私「あとはキャベツの千切りとポテサラかな」

相方「昭和感すごい」

私「……最初の一口は、ご飯。1/2俵」

相方「俺は鮭の塩気を見るね。それからご飯。塩味次第でご飯の配分を考えないといかんから」

私「それじゃ最後は?」

相方「んー、鮭皮からのご飯、最後にカリカリ梅」

私「梅はデザートか!」

相方「最後に口をさっぱりさせる」

私「私は煮物のしいたけ」

相方「ほー」

私「梅は途中で口を変えたい時に使う」

相方「なるほど……ところで嫁よ」

私「何かね」

相方「おなかすいた」

私「おなかすいた」

相方「こんな時間にこんな話をしていたらいけない」

私「セルフ飯テロだった」

相方「寝るか」

私「……そうしましょ」

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