チートな僕が八つの異能で異世界征服-
@DayDreamRabbit
第1話 僕はテンプレ召喚されたらしい
僕の名前は東京太郎。
家柄も運動神経も成績も容姿もすべて完璧で欠点という欠点が存在しない人間だ。
しかし、
そう考える僕を他人は傲慢だと言う。
だから、
人は僕をこう呼んだ、傲岸不遜の化物と。
しかし、可笑しな話だ。
事実をいうだけで傲慢だなんて。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「おお、よくぞ参った異界の勇者達よ」
僕を含めた5人の生徒の前で、王様らしき人が唐突に言葉を告げた。
どうやら僕たちは所謂、テンプレ異世界召喚、というやつに巻き込まれたようだ。
僕自信はあまりネット小説を読まないのだが、そういう類の読み物が大好きな友人がことあるごとに僕に話を聞かせてきたので、この展開には聞き覚えがあった。
「な、なんだよっ!これ!?」
僕たちと一緒に召喚されてきた顔面カマセのような生徒会副会長の一人、
金髪ピアスに軽くアレンジした制服を着ている彼だが、僕と同じ生徒会役員の一人で高校三年生だ。
彼は予期せぬ事態に気が動転しているようだった。
「私はユースティア王国の王、ナーゼラル·オルフォーンじゃ。そなたらには勇者として魔族を倒してきてほしいのじゃ。突然の事で状況を理解できてないじゃろうから、まずは我々の今の状況を聞いてもらいたい」
王様はその言葉に返すように自国の状況、ひいては世界の状況を話始めた。
現在、この世界は魔族と人間での大規模な戦争状況にあり既に10以上の味方の国が陥落し、人間側の陣営が押され始めているそうだ。
だから、現状を打破する手段として、王家の秘奥である召喚の儀によって強大な力をもつ伝説の勇者を召喚することになり、結果として、チート能力を手に入れたらしい僕たちがここに喚ばれたということみたいだ。
そして魔族の王、魔王を倒せば元いた世界へと帰る方法が分かるそうだ。
「頼む、異界の勇者達よ。我らの世界を救ってくれないじゃろうか?」
王が頭を下げ、周りにいた偉そうな人たちも同時に頭を下げる。
なんてテンプレ通りの流れなんだろう。
呆れ果てて言葉もでないとはこの事だろう。
しかし、困ったな。
こんな事言われたら彼が黙っていないだろう。
「わかりました。俺達に任せてください!!」
やはり。
正義感にあふれた瞳で生き生きとした抑揚のある声で応えるのは、僕の他に召喚された五人の一人、我らが学園の生徒会長、
イケメンで学校中から人気の的の生まれながらにして主人公気質な男だ。
「おお!やってくれるか。なんともありがたい!」
「いえ、困っている人を助けるのは当然ですから!」
「はわわ、わたし達に出来るでしょうか」
自信なさげに呟くが、けれども、微妙にやる気を感じる生徒会副会長の二人目、
伸長が130㌢程度しかないちびでロリで貧乳の幼女みたいな人なのだが驚くべき事に僕と同じ高校三年生だ。
「おおっ!!燃えて来たぜえええぇ」
さっきとは一転、馬鹿みたいに騒ぐ鎌瀬山。
やる気に満ち溢れた三人とは裏腹に、僕の気分は乗っていなかった。
何故、こいつらはこんなにやる気満々なんだろうか。
おかしくないか?
もしかして、何か思考を操作するようなものがあるのかもしれない。
そんな突拍子もないことが頭を過ってしまう。
何故なら僕たちはいきなり拉致られた挙げ句世界を救えと無茶ぶりをされたわけだ。
だと言うのに、こいつらのやる気に満ちた反応、それをみたわけだ。
もっと違う反応があるんじゃないのかと思うのが普通であろう。
例えば、怒りだとか恐怖だとか悲しみだとか。
しかも帰還方法が魔王を倒したら分かる?怪しすぎるだろ......。
はぁ、と小さくため息を漏らしてしまう。
「私達はどう動きますか?タロウ様」
そんな僕に小声で聞いて来る少女。
僕の他に召喚された五人の最後の一人。
橙色と少し変わった髪色をしている彼女は生徒会会計、
彼女の家の借金を肩代わりする代わりに交換条件として貰った僕の従者。
苦しくも、僕の通う学園の生徒会メンバー全員が異世界に召喚されたわけだ。
ついさっきまで生徒会室で会議をしていたのだからある意味これは当然の結果だろうけど。
「そうだねぇ……」
思考を巡らす。
正直英雄王はああいう性格だから予想がついていたが、幼女や鎌瀬山が乗り気なのは意外だった。特に鎌瀬山、彼は人の為に動くような性格ではないと思っていた。
まあ、彼の事だからつい勢いに乗せられてそう答えてしまったとしても何も不自然ではないか。
さて真実かは分からないが日本に帰るには魔王を倒す必要があるのはわかった。
最短で向かって直ぐに日本に帰っても良いが、召喚されたこいつらのいう通りにするのは気にくわない。
困った事に僕は人に命令されるのが嫌いなんだ。
はあけど、世界を救うなんてこいつらに任せていたらいつまで経っても出来そうもない。というか道中で死ぬタイプの奴らだ。
だから僕自身もある程度協力する必要性があるというわけだ。
なんでこうもめんどくさいだ。
鬱々とこれからどうするか迷っていたとき、ふと、名案を思い付いた。
名案と言っても大した事ではない。
ちょっとしたゲームだ。
こんな世界だからこそ出来る、楽しいゲームを考えついただけだ。
だから、
「世界を救おう」
けど、その救い方は僕が決めた。
彼等が望むのは彼らの世界を救う事だ。
つまり、どうなろうと最終的に世界を救えば良いという訳だろう?
過程など知ったことではなく。
犠牲など知ったことではなく。
正義など知ったことではなく。
なら、簡単な話だ。
全部奪わせてもらおう。
君達のモノを。
傲慢で強欲な僕にとってそれは簡単な事だ。
世界を救ってやるんだから、対価として世界の全てを貰うのは何も不自然な事じゃない。
当然の権利だ。
僕が力尽きたらゲームオーバー。
コンテニュー無しの異世界征服ゲームの始まり始まり。
さあ、楽しい楽しいゲームの時間だ。
クリア条件は異世界を支配し、救うこと。
僕、ゲームは好きなんだ。
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