3章 新国家 下級エリア編

prologue

 みなさんには忘れられない過去はありますか?

 校庭でドッジボールをしたこと。好きな人と放課後図書室で勉強をしたこと。部活の大会で優勝したこと。夏休みプールに行ったこと。


 忘れられない過去は? と、聞かれると不思議と楽しかったことを思い出しますよね。


 もちろん忘れたい過去がある人もいるでしょう。例えば黒歴史と呼ばれているやつです。恥ずかしかったこと。今思えばなんであんな事していたんだろう。でもそうやってしてしまった過去を消すことはできません。


 ですが、それもそれであなたが将来おじさんやおばさんになったら仲の良かったクラスメイトとのお酒の席で笑い話になっているかもしれません。

 今は嫌だ、恥ずかしい、消し去りたいと思っていても案外時間が経てば笑い話になっているものです。


『中学校の時お前あの子に告白してたよな』

『よくあんなブサイクな奴に告ったよなー』

『うるせーな! あの時はなんかわかんないけど好きだったんだよ!』

『喜べ今日そいつ呼んでるんだよ』


 学生の頃にブサイクだった人も時間が経ったら美人になっているということもあります。時間とは凄いですね。まるで魔法のようです。



 俺も普通に高校を卒業したらそんな生活が訪れるのだろうと思っていたけれどそんなどこにでも転がっているような日常は来ないようだ。

 俺にはそんな笑い話ができるようなクラスメイトはもういない。

 突如始まった選別ゲームとかいう訳のわからないゲームのせいでみんなが殺された。


 俺らみたいな普通の高校生が武器を持っている政府関係者に逆らうことはできなかった。逃げるのに必死だった。


 俺はこの選別ゲームシステムを破壊する。

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