最強のギルドに至るまで。

はシまゆキ

始まりの異常

1


「よう、万田。ゲームって興味無いか?」


「……は?」


いきなり現れて何言い出したこいつは、と思いながら汗を拭う。狙いすましたかのように休憩時間に現れた友人、黒鳥直哉は爽やかな笑顔を浮かべ変なことを聞いてきた。


「フリーメイクオンライン……あぁ、最近よくネットニュースで見るあれか」


「あぁ、実は俺さ、あれのベータ版のテスターなんだよ」


「ベータ版のテスター?」


「あー、製品前に試しにやってくださいーってやつだよ。めっちゃ倍率高かったけど当たってね」


確かこいつこの前も宝くじ当ててたような……100万だっけ?異様に運がいいんだよな。


「で、それがなんだ?」


「そうそう、お前さ、フリーメイクオンラインやってみないか?」


「メリットがないな」


「即決かよ!?」


今は何に対しても本気で打ち込んでいる訳では無い。体を動かすことが好きだから適当にやっているだけだ。だからこいつがよくやっているゲームとか意味がわからない。なぜやる必要があるのだ。


「じゃあさ、あっちでめっちゃ体動かせるって聞いたらどうする?」


「話を聞こうじゃないか、黒鳥くん」


「変わり身も早いな!?」


うるさいな、お前が誘ってきたんだろう?


黒鳥曰く、フリーメイクオンラインとはVRMMORPGに分類されるゲームでしかもファンタジー。魔物とかと戦って進めていくとのこと。


「身体動かすのにもってこいだろ?」


「おう……で?黒鳥くんや、何が目的かね……」


「流石、話が早い」


にやりと黒い笑みを浮かべて黒鳥は言い放つ。


「俺らのギルドに所属してくれ」



ーーーーーーーーーーーー


家に帰り、黒鳥からもらった大きめのパッケージを開ける。そして適当に取説を読み、チャッチャとゲームに入る。早く体を動かしたい。


「うっし、行くか」


その瞬間、視界が暗転した。




『ようこそfree・make・onlineへ』


目を開けるとそこには体の少し透けた女性が浮いていた。


「どうも、こんにちは」


『あら、そういう反応をしてくれる子は少ないから嬉しいわ』


くすりと笑う女性。普通に可愛らしいお方ですね!はい!


『では、はじめにアバターを作っちゃいましょうか!』


女性が軽く空を仰ぐとウィンドウが現れた。

そこには名前とアバターが表示されていた。もちろん、名前の欄は空欄だ。


『じゃあ、頑張って決めてね』


「あぁ」


うーん。ひとまず名前は……Name・ファラクでいいかな。重装歩兵の陣形を略してっと。アバターは適当にいじくって……あ、ランダムあるじゃないか。これでいいや。


「これでいいよ」


『えぇ、出来たようね。そして職業ね。何がいいかしら?』


そう言って新しくウィンドウに出たのは職業一覧。そして下にあるランダム欄。


…………


「ランダムでいいか」


『えぇ!?』


「ん?体動かせるんならなんでもいいじゃねぇか?」


『そ、そういうものじゃないわよ!?得意不得意あるに決まってるじゃないの!?』


「んーまー



どうにかなるんじゃないか?」



〘職業〙魔導師マジシャン



『どうにもなんないわよぉぉぉぉぉぉぉおお!?』


「……ま、いっか」


その瞬間、視界が光で包まれた。


ーーーーー


万田稔まんだ みのる

Name:ファクラ

Job:魔導師マジシャン

ステータス

体力値 6

敏捷値 6

器用値 6

筋力値 4

精神値 9

知力値 9


|ω・){始まるよー


|ωΦ*)✧{私もいますよー


|ω・){ !?


8月21日改訂

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