サン・マルク

 フランスの伝統菓子――なんですけど、正直よくわからないケーキ

 名前は福音記者マルコ(Saint-Marc)、フランス語読みでマルクから

 とまぁ、調べてみてもこれくらいしか情報がない……

 

 ちなみに、どういうケーキなのかはわかっているんですけどね

 誕生した由来やら時代やらがさっぱりさっぱり


 というわけで、今回はその辺りは割愛してケーキについてのみ説明します


 もしかしたら、見たことある人は多いかもしれません

 

 ケーキの形は長方形

 キャラメリゼした表面に白と黒の2層のクレーム〈ムース〉

 一応、一番下と上にジョコンドがあるんだけど、パっと見は目立たない


 構成は一番下がジョコンド――アーモンドプードル(アーモンドの粉)を使って作るビスキュイ生地〈卵黄と卵白に分けて泡立てて作るスポンジ〉

 こちらは通常のビスキュイよりもシロップを奇麗に吸い込むので、滑らかな舌触りに仕上がります


 次にクレーム・ショコラ〈チョコレートムース〉を流し込み――少し固めてから、クレーム・ヴァニーユ〈ヴァニラムース〉

 黒と白の層が混ざらないよう重ねてから、その上にまたジョコンド生地


※クリームとクレームの違いは「クレーム・ランヴェルセ(プリン)」のページで説明しています


 そして、仕上げにグラニュー糖をふりかけて

 キャラメライザーと呼ばれる、焼きコテでキャラメリゼ――砂糖に焼き色を付けていきます

 これはバーナーなんかよりも遥かに高温で、短時間で砂糖をキャラメル状にする優れもの

 間違っても家では使えない危険な道具とも言えますが……


 だいたい、2回に分けてキャラメリゼする人が多いかな?

 1回目はグラニュー糖で、その上から粉砂糖を振ってもう1回

 それによってコントラストといいますかマーブル状といいますか、なんとも深い色合いになるのです

 正直、この色合いが薄い場合はキャラメライザーを使っていないんだろうなぁって思います


 そうして出来上がるのは、表面がカリッとして独特の苦みを与える生地

 それでいて下の生地は滑らかで、間のクレームと一体化したような舌ざわり

 また、甘みの強い2つのクレームも、砂糖を焦がした苦みのおかげで飽きることなく、食べることができます


 もっとも、ケーキ屋で販売する場合はキャラメリゼした表面に艶出しのナパージュがかけられますが

 どう足掻いても、冷蔵保存するとカリッとした食感が維持できないんですよね

 結果、表面がねちゃねちゃするので――キャラメリゼ部分は食感度外視の見栄えと苦みを与える役に


 

 さて、このケーキに合わせるとしたらやはりストレートティーですね

 ミルク分はクレーム・ヴァニーユで充分ですし、またクレーム・ショコラのほうにも生クリームがたっぷり入っていますから


 フレーバーはヴァニラやチョコレートと喧嘩しない香りであれば問題はないかと

 単純な組み合わせをあげるなら、キャラメル、ヴァニラ、ショコラフレーバーは間違いないでしょう


 ベターなのは、やはりセイロンかリーフのアッサム

 セイロンはディンブラかヌワラエリアといった渋みの弱いタイプで

 

 ケーキ自体はチョコレートの味が強いですけども、一緒にヴァニラも頬張ることになるので味わいはミルクチョコレート

 つまり、後を引く甘さなので、渋みの強いタイプだとちょっと悪目立ちする

 それにキャラメリゼも苦さがあるから、強い渋みだと舌が忙しいんですよね


 

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