第2話 半吸血鬼

ガンガンと照りつける日光の中にいた

目の前の現実が受け止めることができず

周りを見渡すことしかできなかった

先ほどいた自分の部屋はなく小さな町にいたのだった


まずは状況の整理だ。

まずここはどこだ?=わからない

なぜこうなった?=少女が原因なのは明らかだが

自分があっちの世界に嫌気がさして別の世界を望んでしまったからという可能性もあるかもしれないな

帰るためにはどうするか?=少女が頼り

帰る必要があるのか?=わからない

結論まずは少女に原因究明が必須。

原因を究明しようと少女を見ると

先程と少し雰囲気が変わったことに気がついた

今までは恐いとは思わなかった少女に恐れを感じた

なぜだろう、いくら考えてもわからなかった

こんな可愛らしい少女に恐れを感じるなんておかしい

恐れを一蹴した

だが今は原因究明が先決なので後回しにした

こちらを見ていた少女の頬を両手で引っ張りながら質問した


「ここはどこだ?」


少女は困惑しながら答えた


「なっやへろいふぁいへはないはよへ、よへのは」


何を言っているかわからないからやめた

だがわかったことが1つだけあった少女の頬はすごくプニプニしていて可愛かった

少女は困惑していた


「なぜ怒る?お主はあの世界が嫌だったのではないか?妾はこちらの世界に来させてやっただけではないか?むしろ感謝されてもおかしくはないぞ?」


と頬を痛そうに撫でながら言った。


「一言くらい説明があってもよかっただろ」


とオレが子供を叱る親みたいに言うと少女は自分の非を認め

ガックリと落ち込んだ、うん素直なのはいいことだな


「それはすまなかったな、その~仲直りとして自己紹介でもせぬか?まだお主の名を知らぬからな今後こっちの世界で暮らすうえでは名なしではいろいろと不便だろうそれにお互いのことを知るいい機会だしな」


とおどおどしながら言ったのを見てオレは可愛いから許そうと思った。可愛いは絶対普遍の正義だな


「まぁ~いいか、オレは利久人だ、

 歳は17、趣味は~、、、ゲームかな」


「次は妾の番だな、

だが妾は自己紹介するほどの情報はないがな、

まぁーとりあえずお主のやり方にを真似してみるかの、

妾は名前がない、趣味はお主との他愛もない談義かの、

生まれて初めて面白いと思ったぞ」


とその言葉を聞いて頬が自然に緩んでいた、そして小さな疑問が出てきた


「つかお前名前ないのか?」


と言ったが少女は不思議そうに答えた


「当たり前であろう、

誰にも名前など呼ばないのだから必要ないしな、

だがこれからはお主がいるしな名前を考えねばな........

う~んだが自分で決めるのもおかしくはないか?

よしお主は妾をなんと呼びたい?」


といきなりの変化球にびっくりしてしまった


「えっオレが決めるの?そうだなぁ~、、、ミラなんてどうだ」


いきなりのことでなかなか気のきいた名前が浮かばなかったが少女は意外と気に入ったみたいだった


「ミラかぁ~なんとも可愛い響きじゃのぉ~」


ともじもじしながら言ったそれを見て

気に入ってもらえたことに少し喜んだ!


「よし!名前も決まったし、

ミラ、説明してくれ、ここはどこだ?」


するとミラは名前が呼ばれたせいか顔を赤くなりなり小さな声で答えた

「ここは元の世界の裏側、

元の世界は科学が発達したんじゃ、

けどこっちの世界は魔法が発達したのじゃ、、、」


魔法という言葉を聞いて一時中断してもらった


「ちょっと待ってくれ、えっ魔法ってマジ?」


と目が驚きまばたきを繰り返しながら質問したミラは真剣な顔になり答えた


「本当だぞ」


その言葉を聞いてオレはなんとも言えない高揚感をおぼえたミラは少し呆れながら説明を続けた


「えっと、話しを戻すけど魔法の他にスキルやモンスターといったファンタジー世界じゃ、どうじゃお主が夢にまで見た世界じゃろ?」


そんな夢のような設定を聞いた瞬間から

心から歓喜したが小さな疑問がふと出てきてしまった


「あれ?オレ異世界語なんてできねぇーよ、

ミラどうしたらいい?」


とこっちの世界にきて1番重要なことに気が付いた

その疑問にミラはすぐさま解決してくれた


「その事なら心配はないぞ言葉ならだいたい伝わるんじゃ」


と説明する言葉が雑だし分かりずらいなぁ~と1人で考え込んでいるとミラは簡単に説明してくれた


「わからんか?、、まったく先が思いやられる、

意思のある言葉は相手の耳に届くと

自動的に翻訳されるのじゃよ」

「マジかよ!ご都合主義の世界だなぁ~

まぁ~便利だからいいけどな」


と少し呆れ気味になった、

新米女教師みたいに教えてくれたそんなミラに

脳内でスーツを着せて遊んでいたらミラが注意してきた


「こら、人の話しはちゃんと聞かんか!」


うん、聞いてはいたぞ可愛いからな

可愛く人差し指を立てながら怒ってきた、うん可愛いな

オレの家にもって帰りたいな


「可愛いな、オイ」


と思わず口に出してしまったそんな言葉を聞いたミラは顔を真っ赤にしながら恥じらいを隠すように怒った


「なっ、、、、やめぬかお主はことあるごとに

可愛いなどと変態、スケベ!」


そんなことを言ってはいたがただの照れ隠しだと見抜いてニヤニヤしながら見ているとミラは顔を染めたまま説明を再開してくれた


「まったくお主といると辱しめられてばかりで疲れるわ、お主が説明せよと言うに、まぁ~よい説明を再開するぞ今度は余計なことは言うなよ!次に魔王軍の存在だがさして気にする必要はないな、お主に手出しさせる気ないしの、お主に実害はない」


オレは魔王軍の単語を聞いた瞬間から心から驚いた

もしかしてオレが勇者様になっちゃったりするのかなぁーヤバイヤバイテンションあがってきたーまずどうしたらいいんだ勇者っていったら聖剣だろ探しに行かなきゃと心の中で妄想をしていると


「オイ、何をそんなに考え込んでいる?

他に何か聞きたいことはあるか?」


とミラが下から覗きこんできた

上目使いだった

微かに香るミラの香りに思わずドキッとしてしまった


「勇者の聖剣ってどこにあるの?」


と真顔で質問した

大事なことだ勇者なんてゲームでしかなれなかった

憧れ?あるに決まってる

むしろ憧れしかない

パーティーを組んで魔王を倒す

うん最高だな


「ん?なぜ聖剣が必要なのだ?

お主は勇者なんぞになれぬぞ」


とミラの容赦ない言葉がかえってきた薄々気が付いてはいたが事実を突き付けられるとはいささかきついものだオレは心にダメージを受けその場にへたりこんでしまった


「そんな、、、ここまで来て才能ないなんて

マジかよ、なんだよそれやってらんねぇーじゃん」


と絶望仕切った感じで言っているとミラは少し笑いながら慰めてくれた


「まぁまぁ気にするでない才能以前に権利がないしの」


と先程の仕返しにニヤニヤしながら言ってきただが権利かないってどういうことだ?異世界人だからか?でも異世界人っていったら勇者候補第1位みたいなもんじゃん?何でだ?

と考え込んでいるとミラが追い討ちをかけてきた


「まぁ勇者なんぞには絶対にならせんぞ」


と意味のわからんことを言っていた


「はぁ?なんだよさっきから

権利がどうのとかさせねぇーって」


と意味がわからず少し大きな声でミラに言った

ミラは少し申し訳なさそうにしていた意味がわからず

そのままじーっと見ているとミラが視線を横に向け

冷や汗を流しながら言葉を選んでいた


「それがの、お主の体は転移の反動に耐えきれなくてバラバラになってしまったのだ、だがお主の精神体は文理させて他の物に憑依させているのじゃ」


と説明してくれた

「えっマジで?前の体と大差ないぞ?」

「それはの、お主の元の体をコピーして作ったからです」


と元の口調と敬語が混ざった言葉を言ったそんなミラの様子を見てある違和感が再度蘇った


「何かこっちきてからおかしくね?

前の世界だったら寂しがり屋の少女って感じだったのに

こっちの世界だとやけに物知りだな?」


と違和感の正体が気になりミラをジロジロと見ているとミラは気まずそうにこちらを見返すばかりだった

沈黙の時間が数秒続いたかと思うとミラは少しためらいながらも声を出した


「妾の秘密をうち明かす前に1つ問いたい、

お主は魔物は絶対悪だと思うかの?」


とミラが答えを聞くのが恐ろしいと言った表情だった、なぜそんな表情を向けられるか理解できなかったが1つだけ理解できたことがあったそれはミラのそんな表情は見たくはないと思ったということだったその感情に気がついた今は質問の答えは決まっている


「いいやぜんぜん、

ミラはミラだろ?なに変なこと言ってるんだ?」


さも当然かのように言った、

よっしゃめっちゃカッコいいこと

言えたと内心ウキウキしていた


「お主は気にしないのだな、

こちらの世界では魔物は絶対悪だからの人間に

化けて友になろうとしてもバレてしまった時は

恐れられてしまうからの」


と、うつ向きながら言った

そんな辛い人(魔物)生を送っていたなんてさぞや辛かっただろう

今まで友と呼べる物もいず孤独と戦っていたのだろうか

この、か弱いそうな少女は


「オレはずっと側に居てやるよ、

その方がお互い退屈しなさそうだしな、それに

ミラはもうオレのパートナーなんだからな」


ミラの肩に手を置いた

出来るだけ優しい声を出そうと心がけた


「そうだな、パートナーに隠し事はなしだな、、、妾、いや、、私は元はこちらの住人だったのだ、、、それに、、、私は、、、、に、人間ではないのだ!」


とうつ向きながら怯えていた、うん、大体予想してたよ

あれだけフラグ立てればバカでもわかるだろ

軽蔑されるかもと

いやミラは軽蔑される覚悟で告白したのだろう

ミラの華奢な肩は今にも崩れそうなほどに震えていた

何をそんなに怯えているのだろうか?

そんなことでは軽蔑も嫌ったりはしないんだかな


「なんとなく察していたぞ、それよりさ、

人間じゃないなら何なの?マジかスゲーなオイ」


と半ばテンションが上がっていた

無理もないだろう目の前に空想上の生物がいるに等しい

人間じゃないなら何だろう?妖精?悪魔?

まさかモンスターだろうか

考えただけでまたテンションが上がったきた

そんなオレの様子を見たミラは少しの間キョトンとしていたが少したつと盛大に笑いだした


「ふっ、、ははははは、、、妾がすごく気にしていたことなのにあっさりと流しおった。しかもスゲーかそんな考え方お主が初めてじゃ最高じゃな」


ミラの暗い雰囲気は嘘だった用に無くなっていた

よかった、ミラはやっぱり笑った顔が一番可愛いからな

結局ミラは何者だろう?


「結局ミラって何者?」

「ん?あー私は吸血鬼の真祖だ、、この世界でも魔王に匹敵する強さとまで言われたのだぞ確か異名が血塗られた吸血姫(ブラッティー、ヴァンパイア、プリンセス)だったり血塗られた悪夢(ブラッティーナイトメア)じゃぞ」

誰だよそんな中2全開な異名付けたのセンスありすぎだろ

だけどミラには似合わないな

今すごい過去を聞いた気がしたがミラは平然は話していた

しかも笑いながらである

少し危機感が足りなさそうだな


「えっマジでか凄いな吸血鬼かよ、

血とか吸うの?なんならオレの血吸うか?」


と少し痛そうだか憧れがある行為をしてみるかと催促してみた、するとミラが赤面した。


「なっっ!意味をわかって言っておるのか?私みたいな吸血鬼の真祖は生涯愛す者の血しか吸わん、もちろん野蛮な混血吸血鬼なら見境無く血を求めるが高貴な私は血を吸ったことがないのだ」


と真っ赤になりながらも説明してくれた

残念だ吸血鬼に血を吸われるなんて超レアな体験ができないなんてと、うなだれた。

もしかしたらオレも吸血鬼になれるかもって期待したんだけどな、残念だ


「マジかぁ~血吸われたら人間じゃなくなったりとか面白いことになると思ったんだけどなぁ~ダメか」


人間じゃなくなったりしたらどうなるんだろモンスターとして討伐対象になるのかも、もしかしたら勇者の仲間になったりして

吸血鬼になったら強そうなのに

人間だと相当訓練しないと強くならないだろう


「何を言っている?お主は妾のパートナー(劵属)なのじゃからもはや人間じゃないぞ?種類で言うと半人半吸血鬼じゃな」


さらっとすごく重要なことを言われた

もはや半分人間では無くなってしまったようだ

体に違和感がまったくないので気が付かなかった

血を求める衝動........とかはないな

牙はないかと思い口の中に指を突っ込み牙を探したがそれらしいものは見付からなかった何度も探してみたが牙は無かったあっても人間と同じ犬歯だけだ

ミラの口の中も見てみたが牙はないようだなぜだろう?


「先程からなんじゃ?

いきなり口の中を見せろだの歯を触ったり」


ミラは何をしているか分からない用だ

だがやはり吸血鬼と言えば牙だと思う


「牙がないか探していた」

「なぜじゃ?牙などないぞ?」

「えっだって吸血鬼なら牙だろ?」


ミラは何を言っているか分からないという顔をしていた


「は?血を飲むのに牙なぞ使わんぞ血を飲む時は皮膚を切り血を吸い出すだけじゃよ」


衝撃の事実だ

本物が言うのだから間違いないのだろう


「人間がどんなイメージかは知らんが偏見だぞ」


と注意されてしまった

確かに偏見はいけないが固定概念がどうも抜けない

吸血鬼は血を吸う、ニンニクが苦手

日光で焼け死ぬ、、、ん?日光?

今はこっちの世界では真っ昼間だ

差し込む日光が暖かい気候だった

ミラを見てみると平気そうだった

どうもオレのあの知識は間違いだらけの用だ。パートナーになったのだから知らなければならないミラの苦手なこと得意なこと性格、などのことを事細かに


「なぁ~ミラのこともっと教えてくれよ。苦手な食べ物は?」


少し困惑していたミラは眉を寄せながらこたえた


「なぜ今食い物の話に?

まぁお前のことだ意味があるのだろう

苦手な食べ物か?

妾はピーマンが苦手じゃな。苦いんじゃもん」


と苦そうな顔をしながら舌を出していた。かわいいなってピーマンが苦手って子供か。いや子供だな。これからは子供として接しよう


「食べ物はもういいや、苦手な物はなんだ?」


オレは食べ物以外の苦手な物を聞き出そうとしたなぜならこの世界に来てしまった以上ミラのことはよく知らなければならない


「苦手な物か~妾は最強だからのぉ~

ん?いやいや本当じゃぞ、疑いの目線を向けるんじゃない」


先程もまおうに匹敵する強さがあるとか言っていたな

途中から変なことを言い出したので疑ってしまった

いや今も疑ってはいるがめんどくさいから苦手な物を聞いた


「なぜ疑う?確かに妾は一見弱そうかも知れぬが魔神位なら一撃じゃぞ、くっなぜ疑いの目で見ておる?やめぬか妾は強いんじゃぞ苦手な物なぞあるか!」


必死に言う姿は可愛らしいがどうも信じられない

しつこいと思ったことは内緒にしておこう

内緒にしておかないとうるさそうだからな

だが仮にミラが最強だったのならなぜ非力なオレを異世界から連れてきたのだろう?


「最強ならなぜ非力な人間のオレを異世界に連れてきた?」


元の世界に未練はさらさらないが聞いてみた


「暇潰し」


ミラは最高の笑顔だった、かわいかった

これが最強とはとても信じられないが多分本当のことだろう先ほどミラ自身がパートナーどうしで嘘はいけないと言っていたからな

こうしてミラとオレはパートナーとなった

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