3回戦に誰出すか決める前に書き始めてる

「さて、敗者の津古未さんですが……」

美ー美美ビービビがそう言うと同時に、笑った顔の仮面を被った、ピエロのような風貌の人達が5、6人程出てきて津古未の腕を掴んだ。

「おい、お前らなにすんねん!やめろや!」

津古未の抵抗も虚しく、何処かへ連れ去られていく。

「このデスゲームネタなんなの?面白いと思ってるの?そんなに、だよ?」




ってな訳で3回戦へ。

「続きまして、3回戦へ移ります!!」

美ー美美ビービビ。今言ったから。

「3回戦!美空みそら 美琴みことさん対鳥片とりかた 正雪まさゆきさん!!」


元気の塊のような司会者の話が終わりを告げるやいなや、ある男が姿を見せた。

夏の夜、月光が照らすのみとなった闇色の帽子。胸からは、何者かに刺されたかのように鮮やかな紅の蝶型ネクタイが吹き出す。夕方、ポツンと立った銭湯の煙突から伸びる影法師みたくスラリとした足を、水がほとんど降ってくることの無い砂地に住む渇きに強い昆虫の皮のようなデニムが包んでいる。あからさまに足自体との大きさが合致していない履物は、磨ききった銅板のようにつやつやと光っている。

「僕が話しかけるということは、君は美琴ちゃんなんだろうな。」




「めんどくさ!この人1番めんどくさ!!」

激昂から顔が火照る美琴は、少々激しめのステップを踏みながら言う。

「地の文も何なの?その……文体。文体というか、うーん。なんかいつもと違う。」

首を横に-と言っても、90度より深くといった程では無いが-曲げながら、17の少女は呟きを漏らす。

「しんどいよ。なんかテンションが違うよ。ってか私って17歳だったんだ。そのことはもういいけど。喋ってくんないし。」

その小さな唇から溜め息が零れる。普段は周りに明るさを振り向く笑顔も、今は曇り、疲れを感じさせる。

「あれでしょ、名前。私は美空みそら 美琴みことでとにかく美しさから。和島わじま 侘助わびすけは日本の和と侘び寂から。場芝ばしば 津古未つこみはバシバシツッコむところから。あの鳥片とりかた 正雪まさゆきさんは、長編ちょうへん小説しょうせつってことでしょ。」

「仮にそれが正しいとして、君に何か変化があるというのかい?」

ツカツカと子気味良い音を立てながら迫ってくる鳥片。

「さぁ、僕の順番ターンだ。」

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