平成生まれママ!20歳からの子育て珍道中
すずか
できちゃった婚〜妊娠発覚から出産まで〜
第1話 妊娠発覚と夏の終わり
その日は、実家で夕食を食べて、彼と花火をする予定だった。ただ、その前にはっきりさせておきたいことがある。
目前に控えた那須への仲間たちとの旅行。車で行って、ステーキにオマールエビ、ハイランドパークでジェットコースター、牧場でバーベキュー。1か月前予約した頃は、人生最大の肉食期を迎えていた私。ガストならハンバーグの方がおいしいのに、硬いだけのステーキでも貪るように食べた。でも、今はなんとなく気分が悪い。吐くほどじゃないけど、胃が重たい。この夏最大のイベントを控えて、不安は加速する。
まあ、私はパニック障害だしな。だから、大学中退して、朝はゆっくり起きて、たまに散歩して、毎日本を一冊くらい読んで、母の買い物に付き合う。そんな隠居生活のような日々を送っていたんだ。体調にむらがあって当たり前。彼が一緒なら、プールでもディズニーランドでも行けるようになったことが奇跡。電車も人込みも、めまいがして、大学に通学することすらままならなくなっていた私と比べればね。もしかして、生理が遅れているのも薬のせいじゃない?
デートで水族館に行っても、ショッピングセンターに行っても、子どもの存在が気になった。そして、いつかは私たちも。そう約束した。ただ、まだつきあってから半年だ。来年の1月に成人式も控えている。リアリティーが増した今、事実を知ることが怖かった。だけど、旅行に行くなら白黒はっきりさせるしかない。私は、重い腰を上げた。
妊娠検査薬の結果を待つ30秒は、30秒に思えなかった。プラスのしるしさえも、薄いから間違えかもしれないとネットで正当性を確認した。そして、彼に電話した。
「話があるから来て。」私のSOSに、すぐに駆けつけてくれる彼がやっぱり好きだ。
説明するより、結果を見せた。言葉なんて無意味だから。彼は、内心慌てているようだったが、すぐに一緒に産婦人科を探してくれた。「明日、ここに行こう。」この人なら、大丈夫だ。この感覚が、今も私を支えている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます