一体何のお仕事ですか?

由文

一日の終わり、回想の始まり

「ただいまぁ」

 誰も居ないワンルームの玄関で声をあげ、靴を脱いだ中野エリは一直線にベッドへ飛び込む。

「あぁ、疲れた。」

 今日は派遣でオフィス街へ赴き、一日室内で机に向かって作業をするという、普段は絶対しない仕事をしてきたのだ。オフィス内でもスーツでなくて良いということで堅苦しさは無かったが、慣れない仕事内容に流石に息が詰まった。おまけに、その会社の仕事内容がさっぱりわからず、最初から最後まで頭の上に?が浮かび通しだった。

 エリはスマホを取り出し、SNSのアプリを起動する。友達に今日の仕事で起きたことを報告しようと、慣れた手つきで文字を入力し始めた。


エミ:今日の派遣先、イミフ。

トモ:なになに?何があったの?

シオリ:どうした?


 入力直後に友人の反応があったをいいことに、入力を続ける。


エミ:死ぬとか殺すとか。一日中ずっとそんあコトばかり言ってた。どう思う?

トモ:え?ヤバくない?

エミ:だよね?

シオリ:それ何の会社?

エミ:あいてぃーけー?とか言う仕事してるんだって。

トモ:何それ。極道じゃなくて?

シオリ:あいてぃー?よくテレビで金持ち社長とかよく出てるやつじゃない?

トモ:極道じゃなくて?

シオリ:ホラ。前ナントカエモンって居なかったっけ?

エミ:しらなーい。

トモ:ネコ型ロボットのこと?

シオリ:違う違う。とにかく金持ちな社長さん。

トモ:何それいいじゃん!

エミ:そうなの?お金があるようには見えなかったけど。


 そこまで入力すると、エミは今日一日のことを振り返った。

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