(6)
「あらら、お二人とも見事にサイコパスだ。そりゃもうお手本かと思うくらい」
「サイコパステストねえ。こんなんホンマにあてになるんか?」
「実際の死刑囚達に今の問題を出したら死刑囚みーんな同じように答えたんだってさ。
一般人ではまず出ないような答えを。怖くない? 死刑囚みんな揃ってだよ?」
「うーん、それは確かにちょっと怖いかもな」
「怖いのはこっちの方よ! 私の目の前にそのサイコパスが2人もいるんだから!」
「はは、どや悟? 今からでもその方面で俺と活躍するか?」
「バカな事言ってんじゃねえよ」
怪異、怪奇、怪談、都市伝説、オカルト。恐怖に少しでも関わるような話であればなんでもオッケー。悟達はこうやって集まっては、その手の類の話で盛り上がる。
今日楓が披露した話は少し普段のものとは毛色が違うが、確かに殺人鬼の心理が一般人と大きくかけ離れている事を証明するサイコパステストからは、日頃得るものとはまた違った恐怖を感じる事が出来た。
しかし最近ストックが少なくなってきており、話のネタに枯渇しているのが現実だ。今日の所は楓がなんとか場をもたせてくれたが、そろそろ新ネタでも見つけて来ないと部の存続に関わる。
「ほな、また」
「次は二人がネタ準備しといてよね! あんた達の方が暇なんだから」
「分かってるよ」
楓は手痛い指摘を悟達に浴びせ帰っていった。
残された悟と操は顔を見合わせ、互いに苦笑いを浮かべた。
「言われてもたな」
「いつもの事だ」
「いつもの事で済ませてたらあかんやろ、部長さん」
「そうなんだけどさー」
分かってはいる。ネタがないわけでもない。だがどれもこれも既存の焼き回しのような新鮮味の薄いものばかりで、刺激には遠く及ばない。こんなものを披露した所で失笑をくらうだけだ。
「そういう操こそ、何かないのかよ」
「あったら喋っとるわい」
「だよな」
悟はがっくりと首を折り、項垂れた。
「隠し玉はあるんやけどな」
その声に、悟は折れた首をすぐさまピンと立てた。
「なんだよ! じゃあ出せよそれ!」
「秘密兵器のリーサルウェポンみたいなもんなんや。そう簡単に出されへん」
「おいおいおい、ますます気になるじゃねえか。ちょっと聞かせろよ、それ」
「あかんて。ってか、裏取ってへんからな。ちゃんと証拠見つけてからや」
「どういう事だよ証拠って」
悟が問い詰めてくるのに疲れたのか、操は諦めたようにはあとわざとらしくため息をついた。
「リンフォン。常識やから知っとるよな?」
操が口にしたのは、ある有名なオカルト話だった。
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