さよならまたね


「それじゃぁね」って手を振った

それは明日も変わらずに会えるようにと

僕と君が交わした約束の一つで

この街にあふれた人だかりの誰しもが

ありふれたその挨拶を交わす


「毎日って言葉は明日も続くから

 毎日って言えるんだよ」ってことに気が付いて


「ならばごめんね

 僕は明日はいないのかもしれない」

いつの日か見てた悪夢は現実になった


「さよなら」

またねと続けられずに

流された涙と誰かの情が積もる

何も責められないよ

これが運命だった

ここで僕が死んだって君は明日も生きる



「じゃぁまたね」って背を向けた

それはいつも繰り返すお別れのシーンで

これが最後の約束になるかもと怯える僕

この街にあふれた人だかりの誰しもが

そんなことも考えずのんきに生きてるんだろうな


「未来って言葉は過去があるから

 未来たり得るんだよ」って言われて反論した


「だから僕は

 どちらでもある今を亡くすのかもしれない」

どうせこの瞬間には覚悟を決めなくちゃ


「さよなら」

またねと続けたくて

わずかな祈りと可能性を信じる

何も責められないよ

これが運命なのか

ここで僕が終われば過去も未来もない



「わかってたんだ」

孤独も苦しみも

喜びと暖かさがあるから息をするんだって


それでも手放せない手放したくない今は

手からすり抜けて気が付けば掴めなくて



「さよなら」

またねとは言い切れず

軽く浮かんだ僕はちっぽけな存在

何かを責めたくても責められないよ

これが運命だとしても

僕は



「もう一度だけチャンスをください」


「またねって言うその一瞬でいいから」




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