車窓の夢

少し古めの音楽が好きなのは

きっと父親譲りなのだろう



気が付けば口ずさんでいたフレーズに

赤面してそっぽを向く午後三時


ハミングは相も変わらず

僕を無視して独創的で

「でも、忘れられないんだ」と笑う

自分がいる


夏の日の高速道路で見る

車窓の夢は

やっぱり遠い過去なのだけど

それでも沁みて

苦しくて




いたずら好きなのは

きっと父親譲りなのだろう




思い返せば微笑ましくて

「やめてよ」って怒りながら叫んだ日


僕のぬいぐるみを大事に抱き締めて

たまにしゃべらせたもんだから

どっちが大人ぶっているのだか

たまにわからなくなる


寝ぼけ眼で見る虚ろな

車窓の夢は

やっぱり遠い過去なのだけど

それでも沁みて

悲しくて




何度も再構成した

その夢は


敢えて今も未完成のまま

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