Not

窓際の雨音

六月の夜は長い


眠たい瞳に揺れたスタンドライト


手が動かない


言葉も曖昧になって

明日の自分へ綴る手紙も

未完で投函してしまった


忘れたい


忘れたい


いびつに歪んだ笑顔が

悪夢になって僕を苦しめる



暗闇の魔物

十二時のチャイムは響いた


カラカラの心に誰か水を差しておくれよ


睨まれた心臓


僕に最後を告げるのは

昨日の自分の笑顔ですか?


それともやっぱり君なのか



都合のよい夢を見たんだ

それが本当だったらよかったのに

でもそれじゃ君は悲しむよね


わかってる



ああ


忘れたい


忘れたい


楽しいことも嫌なことも

全部リセットしてやり直して



「いや、それじゃまた同じか」



僕はそれを知った


知ったから


だから…



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る