虹瞳のジョーカー

三叉霧流

プロローグ 魔大陸

 それはまだ二つの大陸が一つの大陸だった頃、

 魔族の神と人族の神の戦いが起こった。

 幾たびの戦火と流血の果てに、魔族の神が敗れた。

 最後の決戦で魔族が受けた神級魔法。

 巨大な水の壁が押し寄せて、魔大陸を飲み込もうとしたとき、

 魔族の王は立ち上がり、彼の神と共にそれを防ぐが、人族の神は彼らを封印した。

 もう二度と魔の者達が魔大陸から出てこられないように。

 されど、戦に疲れ果てた魔族達は喜んだ。

 これで平和な生活が戻る、そう信じて。

 故に人の住まない魔族の楽園を人はこう呼ぶ。

 魔が支配する大陸、《魔大陸》と。


 魔大陸は人族の大陸と袂を別って、幾星霜。

 一万年の時が過ぎようとしたその頃に、

 人族が大軍勢となって攻め込んできた。

 これに対して魔族達は一団となって反抗する。

 戦いは魔族の勝利に見えた。

 だが、大陸を支えていた六龍の氷と木、二龍が討ち取られ、魔大陸に変調が起き始める。

 土地は次第に枯れ、暴走した龍脈からは妖魔が吹き出て、彼らを襲う。

 大地は崩壊の兆しを見せ、魔族達に、熾烈な生存競争が巻き起こる。

 崩壊していく大地で生き残るため、彼らは食料と土地を守るために互いに憎しみ合うようになった。

 

 

 人族が攻め込んできた戦いから250年。

 その憎しみは大火となり各地に飛び火する。

 討ち取られた木龍の支配していた森、

 古耳長族が暮らす里シャーライツェンにある人族の男が訪ねたことから物語は始まる。

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