第二十二話 餓鬼洞③
下層へ続く竪穴の前に立ちふさがる階層ボスである腐餓鬼を倒した俺は、下層へと続く竪穴に侵入した。
瞬間、竪穴から上の階層へと侵入しようとしていた餓鬼の群れと鉢合わせした。
うわっとっとっとっと、俺はいきなり餓鬼たちが目の前に現れたので、腕を前に交差して顔を覆って、反射的に目をつぶった。
まぁもちろん顔を腕で覆いながら目をつぶった俺に物理的なダメージはなく。ただ俺とすれ違った餓鬼たちが、俺の常時発動スキルである『燃え移り』を受けてその体を燃え上がらせたに過ぎなかった。
ふぅ驚かせんなよ。いきなり目の前に現れて今は俺の常時発動スキル『燃え移り』によって燃え盛る炎と化した餓鬼たちを背後に見やりながら文句を言った。
そうして、下層に降りたとたんにちょっとしたハプニングに襲われながらも、その後の道は特に何もなく一層と同じように、すれ違う餓鬼たちを俺の常時発動スキル『燃え移り』によって燃やしながら、餓鬼洞の第二層の最奥を目指していった。
で、案の定二層の最奥には、教室を二倍ほどに広げた円形のホールがあって、その中の最奥には一層と同じように、下へと続く竪穴があって、その竪穴から這い出てくる餓鬼たちを狙ってか、今度は二体の腐餓鬼が竪穴の前で待ち構えていた。
もちろん。ここに来るまでの間に餓鬼や腐餓鬼たちを倒して、多少なりともレベルを上げているといっても、腐餓鬼の持つスキル『物理無効』が俺にとって厄介なことには変わりないので、一層の階層ボスであった腐餓鬼を倒したときと同じように、俺はボス部屋には入らずに外からスキル『火炎放射』で、ボス部屋にいる腐餓鬼に体を葬ったのは言うまでもない。
その後、第一層でしたのと同じように俺は竪穴に入っていった。
そうして、何度か餓鬼洞の最奥にあるボス部屋のようなところで、俺は階層を降りるたびに数を増やしていった腐餓鬼たちを葬っていっていると、ふと俺の脳裏にある疑問がよぎった。
そういえば階層の最奥ってボス部屋って気がしてたけど、ここは別にゲームの中ってわけじゃない。ってことは、階層をつなぐ竪穴のある場所を誰かが広く作ったために、そこで腹を空かした餓鬼がほかの餓鬼を襲っている間に腐餓鬼に進化して、腐餓鬼たちは体の大きさゆえに、最奥のボス部屋みたいなところからただ単に出られなくなっているだけなんじゃないだろうか? だとすると、もし階層のボスと化している腐餓鬼たちがいなかったら、餓鬼ってどんだけ地上に溢れかえっていたんだろうか? そのあまりに気色の悪い光景を思い描きおおう……。とちょっとばかり引いた俺は、そういったことを考えるのをやめて、当初の目的である餓鬼はどこからあふれ出るかという疑問を解消するために、さらに下層へと降りる縦穴を降りて行ったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます