第十九話 新スキルチェックと炎獅子の食事
食事と新スキルチェックのために餓鬼を探していた俺は、ちょうどおあつらえむきな五、六体ほどの餓鬼の集団を見つけた
進化したてで、レベルも1になっていた俺は、念には念をいれて遠距離っぽいスキルから試してみることにした。
俺が餓鬼の群れの中心にいた餓鬼に向かって、意識を集中して新スキル『炎の渦』を発動させると、俺が狙いをつけた餓鬼を中心として、餓鬼の回りに蛇のように細長い炎が現れる。
そして餓鬼を取り囲みように現れた蛇のように細長い炎は、まるでとぐろを巻く蛇のように餓鬼に巻き付き炎上した。
もちろん発動した炎の渦の回りにいた他の餓鬼たちも、まるで洗濯機の中で回される洗濯物のように、炎の渦に巻き込まれながら、炎上していった。
そのせいで、当初炎の渦の高さは一メートルほどだったのが、炎の渦に巻き込まれた餓鬼たちが炎に引火したせいで、高さ三メートルほど燃え上がっていた。
炎の渦に餓鬼たちが次々に引火して炎を燃え上がらせる光景を目にして、引火って怖いと俺が思ったのは言うまでもない。
そうやって、炎の渦に巻き込まれていった餓鬼たちが上げる炎を見上げていた俺は、進化したために腹が減っていることを思い出したために、炎の渦の中で燃え盛る餓鬼たちの炎を食すために、炎の渦の中へと飛び込んでいった。
そうして俺は、今までと同じように体から、自分の栄養源である炎を食らいながらも、ふとあることを思い出したために、それを実行に移すことにした。
そう、あることとは、炎獅子に進化したために、使えるようになった口で炎を食えないかということだ。
まぁ今まで体から、吸収するように炎を食べていたんだし、それが悪いとは言わないが、やはりというべきか、前世が元人間(たぶん)であった俺は、食べ物を自分の口から食べてみたくなったからだ。
まぁ結果として、炎を口から食べることは成功した。
ただやはりというべきか、食感はなく。ただ体からでなく口から食すると、炎にも味があることがわかっただけだった。
そうして進化後の最初の食事を終えた俺は、それからしばらくの間、レベルアップと進化によってスカスカになった腹を満たすために、食事がてら餓鬼狩りにいそしんだのだった。
ちなみに、新スキルの炎の爪と炎の牙だが、その名の通り、近距離の接近戦用の攻撃スキルだった。
まず、炎の爪だが、その名の通りに敵を炎で切り裂くというものだった。
ただこのスキルは、物理的に相手を切り裂くというよりも、炎の熱によって相手を溶かし切り裂くというもののようだった。
そして炎の牙については、こちらも物理的にではなく炎の熱によって相手の肉片を溶かして体に牙を食いこませるというもののようだった。
最後に新スキル火炎放射についてだが、これまたそのままの意味で、炎の獅子である俺の口から強烈な火炎が吐き出されることによって、視線の先にいる餓鬼や死人たちを燃やし尽くすスキルだった。
ただ炎の渦なみに威力がありすぎるのと、消費している間中つねにMPを消費し続けて燃費がかなり悪い。
なので、レベルが低くMPがあまりない間は多様しすぎないように注意が必要なようだった。
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