異世界に行くまでの退屈な自分 02

 退屈だ。

 いや、退屈だ。

 本当に退屈だ。

 やべえよ、うさぎは寂しくなると死ぬじゃなくて、俺は退屈過ぎて死ぬになってやがるぜ。

 ああ、誰か俺のしゃべり相手になってくれよ、饒舌なんだからさ。

 まあ、俺には友達いないけどさ!

 はぁ、退屈と寂しさで死にそうだぜ、女神様よ、俺を救い給え~。


「漢文はこうやって、数字やレ点、一二点を追っていったらすぐに解けるようになりますからね! 皆さんも頑張って覚えましょうね!」


 いや、古典って楽勝だな、楽勝すぎて眠たくなる。いや、クラスメートの殆どが眠ってやがる。一応、そこそこの進学率を誇る学校なのに、授業中の居眠りってどうよ? 結構な生真面目くんな俺は心が痛くて仕方ないよ、こんなにやる気のない生徒たちに必死に学習させようと努力している吉永先生の姿がいたたまれないよ!

 まあ、本心はどうでもいいけど。


「じゃあ、この問題を綿瀬くんにお願いしますね」


 ああ、当たったよ、まあ、わかるからいいけど。

 無言でスラスラと問題を説いて先生に可否の是非を説いてみた。すると正解ですと明るい声で返答してくれたので普通に正解なのだろう。いや、正解に決っている。

 さて、自分の席に戻るか、そうさ、戻るのもお勉強だ。

 お馬さんは乗り捨てられても家に帰れるくらい頭がいいらしいぜ、鳥頭の俺には出来ない芸当だ。

 つか、本当に寝てる奴ら多いな、勉強はつまらんが、受けていたほうがいいだろ。

 ほら、こいつも寝てる。気持ちよさそうに寝やがって、叩き起こしてやりたいが、チキンハートな俺は行動を起こせないでいるんだ。ああ、チキンでターキーでオーストリッチな俺はか弱いぜ、ひ弱だぜ、魚で例えると鰯くらいかな?

 さて、授業もあと二十分で終了、そしたら学校から出て行って、家に帰ってゲームでもプレイングしましょうか、最近発売されたRPGをプレイしよう、なんか、クソみたいにストーリー長いし、難易度もクソ高いし、あれ、ライトゲーマーを殺しに来てるよね? 多分、制作陣が俺のことを、俺の時間を殺そうとしているんだ。


「な、なんだ!?」


 おお、地震ですな、地震ですぜ、地震ですわ。

 ゆれるゆれる、ゆれてるわ、これ、家が崩れるレベルなんじゃね? まあ、うちの学校は出来て十二年だから耐震性はちゃんと考えてるだろうからどっしりと構えられるからいいけど......って、机の下に隠れるやつが居るぜ、小学生かよ、そう簡単に天井が落ちてきてたまるか、古いRPGのトラップじゃあるまいし。

 にしても、窓の外の家とか木とかは全然揺れてないのに、教室は異様に揺れてるな、どうしてだろな、これ。

 あ、窓の外が真っ白に!? 誰だよ、こんな時間に『ピー』タイムに突入したやつ、早漏すぎだろ、もうすこし我慢しようぜ、男優とまでは言わんが、二十分は持たせよう、それが『ピー』禁一週間でもだ!

 あ、あれ、意識が......。



 あ、意識が戻った......。

 てか、ここどこ?

 もしかして地震で天井が崩れて死んだとか?


「いや、死んでない」

「ああ、死んでないのね」


 あれ、てか、この人だれ? なんか、骸骨のお面を被った変質者がいるんですけど~まだハロウィンまで時間があるんですけど~

 あ、でも、最近のハロウィンはすごいらしいね、なんか、ヴァレンタインより金が落ちるとか、まあ、どっちにも金を落とさない俺には関係のない話なんだけどさ。


「じゃあ、早速だが、願い事を一つ叶えてやる。なんなりと言ってくれ」

「願い事? 龍玉みたいな?」

「ああ、龍玉だ」

「じゃあ、俺のポケットモンスターを三十センチに拡張してくれ」


 これで黒人顔負けのプレイをすることが出来る!


「いや、もう少しマシな願いにしてくれ、一応、冥界の神様やってるからそんな願い叶えたとか噂になったら困るし」

「まあ、そうだよね、流石に龍玉の願い事をポケットモンスターの拡張に使うとか頭がイカれてるとしか言いよう無いもんな、今更だけど悟ったよ、俺が馬鹿だった」


 じゃあ、願い事を何にする?

 ああ、まあ、金とか?

 いや、金とかいらんだろ、必要なのは愛、暴力、SEXだろ? 違う?

 まあ、どれ選んでも命狙われそうだし、愛なんて、略奪されるに決まってる。多分、プロローグの部分で優男に寝取られそうになってるシーンが鮮明に描写されてるだろう、これが小説なら、これが『小説』なら!

 小説って、フィクションだからこその残酷さがあるよね、NTRとか、ネトラレとか、幼馴染の結婚とか、まあ、寝取られる恋人も、結婚してしまいそうな幼馴染もいないからいいけどさ。俺、所詮はおしゃべりなぼっちだし。


「じゃあ、俺の頭脳を物凄くしてくれ!」

「つまり、頭を良くして欲しいんだな?」

「ああ、出来れば、理系、文系、語学系、体育会系を完璧にしたい! 多分、それだけで完璧超人だぜ、兵庫県の球団に一位指名されるくらいだぜ」

「おまえ、お喋りだな、まあ、いいよ、その四つを極限まで高めてやるさ」


 お、なんか、物凄く頭が良くなったような?

《うっす、今日からよろしく》

 え、誰?

(じゃあ、大冒険をはじめましょうか)

 だから、誰だよおまえら!

《(いや、俺(私)はおまえだよ)》

 何だ俺か、納得! じゃねぇ!?


「まあ、なんだ、私は器用な神様じゃないからおまえの願いを完璧に叶えることが出来ない。だから、理系に長けた人格、文系に長けた人格、体育会系に優れた肉体、そして、君自身の人格に語学系の力を備え付けた」

「あ、つまり、物凄い知能を持った人格が三つ、野球選手になれる肉体が一つ貰えたってことでいいの?」

「間違えない」


 凄いなおい、お前達ってそんなに頭いいの?

《少なからず、理系のことは結構知ってるぜ、東大卒くらい》

(私はまあ、それなりにだ。文系なんてたいして世の中の為にならんからな)

 文系、それを自覚している辺り、おまえは偉いよ、でも、文系な脳みそも楽しく生きるには大切だと思うけどな。

《まあ、おまえは語学系だからどちらにも分類されないしな》

 そうか、俺、今から語学系なんだよな、つまり、どんな言葉も読み書きできますってやつ?

《まあ、勉強したらそうなるだろうよ、人の数百倍の速度で》

 マジか!? 俺にそんな秘められた力が......って、さっきもらったもんだったな、忘れてた。

(言い回しは私が教えるから、勉強効率百二十倍だね、やったねたえちゃ――)

『《縁起が悪い! やめろ!!》』

 じゃあ、大冒険に出発するまえに、装備と情報の確認をしましょうか。


「で、俺はどこに行くんです?」

「まあ、なんだ、少年が憧れるRPGのような世界とだけ表現させてもらおう」


 RPGだってよ、最初の装備は兵士の剣かな?

《あれ、何かのモンスターからドロップするんだよな、まあ、初期装備を落とされてもなんとも言えない気分にしかならないが》

(え、装備は売る派? 私は最後までバックの肥やしにする派なんだけど)

 正直、薬草を探すのがめんどくさいからすぐ売るわ、自分の部屋も几帳面に片付けるタイプだし。

(道具には思い出があるから売れないのよねぇ~)

《まあ、ボス倒した装備は名残惜しいよな》

 わかるわかる、でも、次の装備がかっこ良くて強いから平然と売るんだよな、俺。

《てか、一人称が俺と被るからどうにか出来ない? これが小説なら読者がこんがらがるだろ》

 それもそうだな、これが小説ならめちゃくちゃにこんがらがるだろうな、まあ、それなら小さい頃の一人称を引っ張りだすか。

(オイラでしょ?)

《オイラだよな》

 まあ、お前達もオイラだからまるわかりだろうな。


「心の準備はいいか?」

「もちろん、こんな相棒なら先発投手になれるぜ!」


 オイラ、アンダースローの投手になるんだ。

(サイドの魅力は凄いわよ)

《科学的にはオーバースローが一番なんだけどな》

 最終的に方が下がってスリークォーターになるだろ。今日から毎日シンカー投げようぜ?

(いいえ、シュートよ!)

《縦スライダーの魅力をしらんのだ、貴様達は》


「じゃあ、君が行く異世界のことについて軽く説明させてもらう」

「どうせ、魔王が人間を滅ぼそうとしてるとか、そんなありきたりな世界なんだろ、もうお腹いっぱい、どうせ他の人がどうにかしてくれるさ、長い物は恵方巻って言うだろ?」

「まあ、君のクラスメートも連れていかれてるから御尤もだ」


 マジ? クラスメート全員が異世界入り......あいつらの顔はもう二度と見たくないぜ、美少女がどんくさいフツメン(優男)にすべて奪われている嫌々なクラスだぜ? もうお腹いっぱいです。

《でも、魔王討伐を一任出来るぜ? 俺達は異世界を観光するだけ、北海道旅行みたいなもんだ》

(いや、異世界なら島根県旅行と言った方がいいんじゃない?)

 いや、島根は出雲大社があるから、どちらかと言ったら佐賀県だろ、ムツゴロウとワラスボと根性のある婆ちゃんの物語しか存在しない県だぜ、ガチの異世界だろ。あ、地味に吉野ケ里も異世界っぽくね?

《おまえ、佐賀県に恨みでもあるのか?》

 無い、本当にない、特にない、でも、それくらい佐賀県は何にもないぜ。

(まあ、九州で一番魅力の無い場所だもんな)

《可哀想だろ、でも、事実なんだよなぁ~》

 長崎と福岡にサンドウィッチされている時点でコンプレックスだもんな。


「じゃあ、これ以上の説明は飛ばされてからでいいだろうか?」

「了解、ハーデース様、全力で観光してきますわ」

「死なない程度に観光してきなさい」


 ああ、やっぱり冥界の王っていったらハーデースだよな、この人ハーデースだよな。

(ゴッドゼウスのお兄ちゃんなんだぜ、この人)

《弟は浮気症のド変態で、兄貴はそこそこしっかりした苦労人って報われんな》

 正直者がバカを見る、悲しい世界だよね。

(でも、しっかりとした人が最高にクールだよ、報われる日が来るさ)


「またな」

「はい」



 目が覚めた。

《俺達の冒険はこれからだ》

 いや、オイラの大冒険を終わらせるなよ、もうすこし楽しませろ理系。

(正直、長ったらしい物語は嫌われると思うだんよね、もし、これが小説ならライトノベルの類だと思うし、糞長い説明は中学生と高校生の読む気を激減させるだろ?)

 でもさ、文系、オイラ達はこの状態を重く、でも、わかりやすく説明する義務があるんじゃないの? それがストーリーってやつだろ、大冒険ってやつだろ、子供と主に気色の悪い読者のことを労れよ。

《えぇ~読者層は男ばかりなのか? 正直、男共に俺の姿を見られたくないぜ》

(じゃあ、男キャラとの絡み合いを濃ゆくすれば? 腐女子がワラワラと湧いて出てくるぜ)

 いや、腐女子は女性としてカウントされてないから、あいつらは男女を超越した不思議な生物だから、動物園の隅っこに展示されているような存在だから。

《えらく腐女子をディスるな、恨みでもあるのか?》

 まあ、中学の頃の彼女が腐女子の影響で別れた。

(嫌な事件だったね......)

《俺も思い出した、あれは最悪だ》

『《(綿瀬くんと柊くんのホモプレイが見たい! ねえ! ホモォー)》』

 あの姿を見た瞬間にオイラ泣き出したね、まだ初体験もしてなかったのに。

《わかるんだね、腐女子は男心を破壊する生物》

(嫌な事件だったね......)

 おい、文系は凄いトラウマなんだな、オイラは結構乗り越えたつもりだったんだけど。

(いや、文系だからその後のストーリーを考えたら嘔吐下痢の症状が出たんだ。まあ、体無いけど)

 大丈夫、オイラが操縦桿を握る限り嘔吐下痢の症状はあらわれない。


「こ、ここは......」


 うわ、なんかありきたりな最初の言葉を口にしている奴が居るぜ、痛いぜ、最初は思いっきり下ネタを叫ぶだろ、夢の異世界だぜ、オイラだったら女性器のことを高らかに叫ぶぜ、『ピー』って。

《いやいや、そこは汚物は消毒だ―! だろ》

(じゃあ、私はガチョーンって時代遅れのギャグを炸裂させてやろう)


「目覚めましたから勇者様達!」


 何? あの物凄く怪しい服装の奴ら、絶対に危ないクスリを転売している奴らだろ、主に北朝鮮で製造されたね。

《メタンフェタミン、つまりは覚醒剤だな、打ってるだろ》

(マリファナ程度であんな気狂いな服装は出来ないだろうしね、打ってるだろ)

 いや、売人がシャブ中なわけないだろ、あいつらは高い金を入手するために絶対にシャブに手を出さない。そのかわり、シャブの快楽と価値、そして危険性を誰よりもよく理解しているんだ。まあ、オイラの知り合いに売人なんて一人もいないんだけどさ~


「ほ、本当にあの神様が言ってたとおりだ......」


 ああ、他の奴らも神様に会ってるのね、でも、絶対にハーデースさんじゃないだろうな。

《だけどさ、なんか凄い力を持ってるようには到底見えないな、ほら、聖剣とかだれも持ってないし》

(ハーデースさんと他の神様とは方針が違うんだろ、まあ、クラスメートに殺される可能性が低くなったってことでいいんじゃない? まあ、クラスメートに殺されるほど弱い自覚は無いんだけど)

 そうだよな、オイラ達には体育会系という最強の肉体が備わっている。だって、野球選手クラスだぜ? 兵庫の球団に一位指名だ。


「おお、エリア様と会われたのですか!? やはり、貴方達は真なる勇者! どうか、我々に反撃の力を......」


 うわ、自分より年下に頭下げてるよあの売人達......。

《いい年した大人がガキに頭下げてるのって滑稽な姿だよなぁ~》

(正直、私があの立場なら絶対に命令しか出来ないね、だって、子供に頭なんてさげれるもんか!)

 でも、エリア様って誰だろな? オイラ達はハーデースさんに力をもらったわけだし、というか、ハーデースさんから力貰うとか凄いよな、やべぇよ、死ぬまで語り明かせるぜ。

《まあ、超絶な有名人だからな》

(うん、凄い有名人だもんね)

『《(その点、エリアって誰よ? 知ってる? オイラ(俺)(私)はいっさい知らん)》』

 でも、他の奴らがそのエリアとかいう神様に導かれたとしたら話を合わせたほうがいいんだろうな、だって、他の神様に力貰ってやって来ましたなんて絶対に言えないもん。語学系のオイラにもわかるよ。

《そうだよな、確率的に口に出した途端に追い出されるか、殺されるの確率が九割を占めてるぜ》

(じゃあ、ハーデースさんのことは他言無用でいいのな)


「では、皆様にステータスペーパーを配布させてもらいます。それで自分のステータスを確認することが出来ます」


 何? ステータスペーパーって?

《多分、RPGのステータス的なのを表示する紙なんじゃないの?》

(じゃあ、私達のステータスは完全にカンストしてるだろうな! だって伝説の勇者なんだぜ!)

 伝説の勇者はオイラの息子だ。まあ、本当はビアンカなんだけど。

《あの設定は度肝を抜かれたよな》

(まあ、主人公が杖を装備出来る時点であれれって思ってたけどさ)

 まあ、オイラはいつも、いかなる時も剣使ってたけど。

《その点、八では槍使ってたよな~》

(今ではオンライン)

 パソコンのスペックが追いつかないからやってません。はい。

《じゃあ、この物語が書籍化したら三十万くらいで自作しようぜ》

(それいいな、まあ、これが小説なら)

 ケース選びに悩むな~


「おお......これは凄い......」


 なんか、ステータスペーパーの結果が全員良いみたいだな。てか、先生までノリノリでペーパー貰ってるよ。これ、教職者としてどうなのかしら? オイラにはわかりません。

『《(じゃあ、オイラ(俺)(私)も使ってみましょうか)》』

 ぶわりとステータスペーパーが燃え上がり、そして、消滅した。


「こりゃ、資格なし? もしかして、俺、資格なし?」


 どうしてこうなるんだよ、オイラ、毎日歯を磨いてるぜ? サンタクロースから一ダースのオナホールを貰えるくらいにはいい子にしてるぜ?

《てか、どうしたら自然発火するんだろうな? 語学系の手に何か化学反応を起こす物質、赤か黃リンとかが付いてたのか?》

(流石にそれはないだろ、綺麗好きだし、私達)

 てか、いい子にしてたのにクリスマスプレゼント貰えなかったんだけど、オナホールはコッソリ堂で半ダースかったけど。

《聖夜を性夜にしたのはいい思い出だな!》

(抜かずの三発は色々としんどかったよな~)


「エリア様の加護を受けたステータスペーパーが燃えた――邪神に魅入られた存在か!?」

「はい?」

「取り押さえろ! 此奴は邪神に魅入られた存在だ!!」


 やばい、やっぱりこいつらシャブ中だ。ガンギマリですわ。

《そうだよな、キメてるよな、ハードドラッグとダンスしてるよな》

(まあ、薄々感づいていたけど、私達ってくじ引きとか物凄く苦手だからね)

 まあ、俺はハーデースさんに体育会系の力を貰ってるから勝てる、はず、多分、絶対、お願い。

《弱気だな、まあ、見た目は変わってないからな》

(そうだよな、見た目はただの十六歳の少年だもんな)

 筋トレは毎日しましょうねってことだね、わかるね。


「......死にたい奴からかかってこい!」


 てか、本当に大丈夫かな? オイラは平和主義者だし。

《でも、毒舌主義者だからな》

(毒舌は心を成長させる薬だぜ、理系)

 まあ、やるだけやってみるか、物凄くカッコイイセリフを吐いたわけだし。

 人間の急所、首、脇、鳩尾、金的を集中的に狙って一瞬で白いローブのシャブ中共を撃退した。なんというか、レベルが上がったような気がする。そんな気がする。そして、シャブ中を倒したお陰で人間社会が綺麗になったような気がする。

《クスリはだめ、絶対! ってやつだな》

(まあ、クスリは毒にもなるし、癒やしにもなるからな、一概に言えない)

《モルヒネもアヘンから作られるわけだしな》

 にしても、オイラ達の体、強くね?

《体育会系だからな、それくらいはあるんだろう》

(シャブ中くらいは倒せないでどうするよ)

 まあ、覚醒剤だからな、ヘロインとか、クロコダイルとかだったら負けてたかもしれん。

《正直、これが小説だったらそのブラックな薬剤知識で書籍化出来ないぞ》

(薬の知識は必要でしょ? 太宰治だってシャブ中なわけだし)

 あれはシャブが禁止されていない時代のものだから、向精神薬取締法が無い時代だからセーフなんでねーの?

(そうだな)

《でも、シャブはダメ、絶対! だよ、子供とお姉さん》

『《(この物語は危険な薬剤を使用する人達を許しません!)》』

 でも、これどうするよ? なんか召喚した人達を全員倒したし、クラスメート達の視線も痛いし。

《まあ、これは逃げるに他はないだろうな。ワラワラとシャブ中が現れたら正直、指定暴力団の人達より怖いし》

(じゃあ、早速逃げる?)


「アディオス!」


 うわ、体育の成績が芳しくないオイラとは思えないような脚力だ!?

《流石は体育会系、信じられん》

(文系の私は本が好きだから怖いくらいだ)

 語学系のオイラは人と喋るのが好きというだけだし。

『《(やっぱり体育会系って凄いな~うんうん)》』

 で、この場所はどこなんだろうな? やっぱり人を召喚するんだから地下だろうか?

《まあ、この空気の湿り気は水脈の近く、つまりは地下、おまえの言う通りだ》

(じゃあ、階段を駆け上がったら出口が見えるってことだね)

 見えた見えた、なんか、本当にRPGの世界に来てしまったようだな......。

 中世ヨーロッパ風の建物が立ち並んでいる。

《これが最初の町ってやつなんだろうけど、ここに長居したらシャブ中に毎日追われることになるだろうから次の街に移動しないといけないんだよな......》

(いくら体育会系の体を手に入れているとはいえど面倒くさいよな)

 でも、危険なシャブ中共を倒す戦略を考えるには仕方がない。さあ、次の街を目指そう。オイラ達の冒険はこれからだ!

《なんか、途中で終わりそうだな》

(終わらせない、私達は不滅だ)

『《(この世界にシャブがある限り! オイラ(俺)(私)達は戦い続ける!!)》』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る