布貼り

 色を塗るのが面倒と言うあなた。

 手先が不器用で色を塗るとあらぬ場所に付着してしまうあなた。

 子供やワンちゃんがいるので、あまりスプレーを使いたくないと言うあなた。

 そんな方たちにおすすめなのが、布を貼る方法です。

 布に関しては私は主に二種類を使用しています。

 一つはエナメル生地。程よい光沢と柔軟性に強度を兼ね備えている為、扱いやすさは抜群だと思います。

 反面、一メートル千円以上はしますので、お財布の中身に結構な打撃を与えてきます。

 まぁ、絶対に一メートル買わなければならないと言う訳ではないので、必要な長さにカットして買いましょう。

 もう一つはサテン生地です。こちらも結構てかっており、普通の布を貼り付けるよりも光沢感が出ます。

 そして、一メートル三百円から五百円で購入出来ますので、エナメル生地よりも安価で入手可能となっております。

 また、サテン生地は結構特売になっていたり(私の住んでいる場所近くにある店では、ですが)するので、本来の値段よりも安く仕入れる事が出来る場合もあります。

 ただ、こちらはエナメル生地よりも扱いに繊細さが求められるので、注意が必要となります。

 あとは、そうですね……これらは時折端切れとして特価価格で売られている場合もございます。

 少しでも安く仕入れたいと言う方は、端切れコーナーをのぞいて見て、欲しい色の布があるか探してみるのもいいかもしれません。

 他に安く購入したいと言う方は、その店のカード会員になった方がいいかと。年末くらいになると価格が二割引きになるはがきとかが送られてきますので、それを使わない手はないでしょう。

 はい、布の種類や購入する際の豆知識などはこれくらいにして、実際の貼り付け作業の手順について説明していきたいと思います。

 まず、エナメル生地とサテン生地の扱いの違いについてです。

 これはあくまで個人的な手法ですので、参考程度に読んでいただいて構いません。

 エナメル生地に関しては、ジョイントマットの接着と同じように、貼り合わせる面にGなボンドを塗ったくります。そうしないと上手く貼り合う事はなく、下手をすると空気が入って表面がぼこぼこになってしまいます。

 そうなってしまいますと、大変見栄えが悪くなってしまいます。まぁ、中には泡を表現した果物鎧のアーマーもあったりしますが、そう言ったもの以外ではぼこぼこを出現させないようきちんと貼り合わせましょう。

 また、貼る箇所を間違えてしまった場合、それが貼って直ぐなら慌てず騒がずにゆっくりと剥せば問題ありません。一度剥した場合は、もう一度接着剤を万遍無く塗ったくりましょう。

 時間が経ってしまった場合、下手に剥すとジョイントマットが剥けて抉れてしまう場合があります。そうなると、新たに布を貼ったとしても抉れた部分が浮き彫りになってしまいますので、見栄えが悪くなってしまいます。

 そうした場合は、諦めて新たにパーツを作るか、その上に別の布を貼り付けるかの工夫をして下さい。

 次に、サテン生地です。

 こちらはサテン生地にはGなボンドを塗ったくらずに、ジョイントマットのパーツにだけ塗るようにしてください。

 サテン生地は生地が薄く、素材的に接着剤を吸収しやすいのです。

 ですので、下手にGなボンドを塗ると表面まで滲んでしまい、何? この黄色い染みは? 状態になってしまいます。

 ジョイントマットにGなボンドを塗る際も、薄くなるよう伸ばして下さい。少しでも接着剤の溜まった箇所があると、貼り合せて伸ばすと、その箇所から接着剤から滲んでしまいますので。

 サテン生地を使う場合は、以上の点を踏まえながら貼り合せて行きましょう。

 では、次に貼る際のコツを説明していきます。

 まず、布を貼る際は、ギリギリで行わない事。

 このギリギリと言うのは、布を貼る必要がある部分の端と言う意味です。

 無論、アーマー部分などでは縁までしっかりと貼ると思います。しかし、縁までで終わらせてはいけません。

 アーマー部分にしろ、腕部や脚部のパーツは曲面があります。あまりにギリギリで貼り合せてしまいますと、曲がった際に縁に変な皺が寄って何か変な感じになってしまいます。

 ですので、貼る際は縁を過ぎて、外からは見えない裏側に少し達したところまで布を貼りましょう。

 パーツの裏側まで来る布の長さは大体人差し指の爪のサイズから人差し指の第一関節位まであれば充分だと思います。

 裏側まで布を貼る事により、曲げた際に皺が寄る部分がその裏側に集中するようになります。

 無論、縁の部分にも皺が寄りますが、ギリギリで貼り合せた場合よりも皺は目立ちません。

 次に、縁の部分に布を貼る際の工夫です。

 この縁と言うのは、アーマーの肩部分だった手首や足首のパーツで縁だけ色が異なる場合の縁です。

 そのまま貼り付けても当然問題はありません。特に、単に直線になるものはそのまま貼っていただいて構いません。

 しかし、結構複雑な形をしている物に貼り付けると、使えない布生地が多く生まれてしまう可能性が出てきます。

 これは縁部分にそのまま貼ると、必然的に使わない部分が出てきます。その使わなかった部分は、最悪サイズが小さくて他に貼る場所がなく、使う事が出来ない悲哀漂う産物と化してしまう可能性があります。

 折角高い布を買ったのに、そう言った使えない部分をなるべく出さない為に、工夫が必要です。

 その工夫は、縁部分を切る事です。

 なるべく直線、または直線に近い曲線のパーツになるように角の部分で切り離します。

 こうする事により、その切り取った縁の部分に布を巻き付けるように貼り合せるだけになりますので、布生地の端の部分から貼り合せる事が出来ます。

 そうする事により、使用する布の量は同じながらも使えないサイズの切れ端を生み出す事はありません。

 布を貼り終えたら、あとは縁のパーツを元に戻す為に接着しましょう。

 また、意外と接着部分は気にならない物です。少し気になると言う場合は、パーツごとの切断部分よりほんの一ミリくらい長く布を残し、接着する部分に被せるように工夫したりすると更に気にならなくはなると思います。

 それでも、どうしても接着部分が気になると言う方はこの縁を分割して布を貼り付ける方法はやらずに、そのまま布を貼り付けて下さい。

 また、形状が複雑なパーツに関しては一枚の布だけを貼り付けるよりも、要所要所と同じ形に切り抜いた布を貼り付けた方が不恰好になりにくいですね。

 曲面に布を貼り付ける場合は皺にならないように生地を強く引っ張りながら貼り付ける方がいいでしょう。気持ち程度ですが、多少は生地が伸びますので、少しずつ皺にならないように貼り付けて行きましょう。

 あとはですね、布を貼った後は何度か布の上から指の腹で擦って定着させましょう。

 何度か擦る事によって、接着面がきちんと貼り合わさります。やらない場合は時間が経つと剥がれて空気が入ったかのような状態になる……と言った事態に陥る可能性があります。

 特に、生地側に接着剤を塗らないサテン生地の場合はやっておきましょう。エナメル生地の場合は生地にも接着剤を塗っていますので、そこまで何度も表面を擦らなくても大丈夫ですが、心配な方は何回か擦る事をお勧めします。

 そして、布を貼る際にちょっとした紋様……と言うんですかね? 柄や図形と呼んでもいいかもしれませんが。

 想像しやすいのは三枚のメダルを用いて変身するバイク乗りの胸の部分ですね。鷹と虎と飛蝗の絵が描かれているあれです。

 後は、ラインが入っているパーツですかね。歩く電飾と呼ばれている紅いラインが光るバイク乗りのあれとかです。

 そう言ったものはジョイントマットで作ると厚くなりすぎますし、かと言って残酷な天使のテーゼが聞こえてきそうなマットでもちょっと厚めになってしまいます。

 場合によっては少し厚みがある方がいい事もありますが、大抵はあまり厚みが無い方が見栄えがいいですね。

 そのまま布を貼り付けてもいいですが、端の部分が生地の切断面が見えて気になる方がいると思いまし、貼るにしても一度その紋様通りに切り取らねばなりません。

 生地をその紋様通りに着るのに慣れていなければ、下手をすれば生地を切る段階で失敗してしまう可能性もあります。

 特に、サテン生地の場合はエナメル生地よりも柔らかく、あまり切れないはさみで切ると切り口が汚く、ほつれる事もあります。

 縁部分を綺麗に見せつつ、あまり厚くならないようにする為には、画用紙の出番です。紋様や図形を切り取って、それに布を貼り付ければOKです。

 ここで、先項で取っておいた方がいいかもしれませんと言っていた、ラインや紋様を描いていた型紙の出番です。

 この型紙は大きさがアーマーとほぼ同じとなっていますので、描いていたラインや紋様を切り取って布を貼り付ければ一から測って画用紙に記入する手間が省けます。

 さて、あとは布を貼り合せたもの同士を接着する際には瞬間接着剤を使用した方がいいですかね。

 パーツとパーツの接合部にも無論エナメル生地やサテン生地が貼り付いていると思います。

 サテン生地の場合はGなボンドを使用しても構いませんが、エナメル生地の場合ですとあまり接着が上手く行かない場合がります。

 張り合わせても、ちょっとした拍子で剥がれて分解してしまった……なんて事にもなる可能性があります。

 なので、そう言った悲劇を回避する為にも、布を貼った面同士を接着する際は瞬間接着剤で貼り付けた方がいいでしょう。

 貼り付ける面の片側に瞬間接着剤を塗り、直ぐに貼り合せて暫し押さえていればOKです。

 布を貼る際のコツはこれくらいですかね。

 あ、あと布で表現するには細かすぎる紋様とかライン、文字的な物は先の細い油性ペンで書いてしまった方が楽ですね。

 ただし、失敗したら一巻の終わりですけどね。

 また、サテン生地の場合ですと油性ペンは滲んでオーマイガーな事態に陥ってしまいます。

 サテン生地にラインや紋様を描く時はボールペンを使用しましょう。意外にきちんと描けますよ。





 布貼りについては大体こんなものですね。

 次は接合箇所について説明して行こうと思います。

 接着ではなく、接合です。留める部分、固定する部分、とも言いますかね。

 パーツとパーツをつけるのは接着と同じですが、この接合の場合は取り外しが出来る状態にしておくのが重要なのです。

 そうしないと、着れない、被れないという悲しい事態に陥ってしまいますので。

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