第78話 スーパー海君

潜在能力解放の泉を手に入れた海は、一度カレビ帝国にある自分の屋敷に戻っていた。

鳥頭な海は、自分がシャルロッタとケンカしたこともすっかりと忘れてのこのこと屋敷に戻ったのだ。

そして、屋敷の庭を見て海は...


「なんじゃこりゃあああああ!!」


と、叫ぶのだった。海が見た光景は、荒れ果てた自分の庭だった。地面はところどころ崩れており、海が丹精込めて育てた農作物は焼けこげの灰になっていた。


「誰だよ...こんなひどいことした奴...あんまりだよ...」


古代遺産を粉々に破壊した海が地面に手をつき項垂れる。海の必殺技、自分はいいけど他人はダメが発動している中。

近くで大きな爆発音が聞こえた。


「今度はなんだ!!」


海は、顔を上げ爆発音のする方向を見ると、自分の土地の敷地内から煙が上がっているのを見つけた。


「犯人は奴か!!ぶっ殺してやる!!」


海は立ち上がり、土煙のする方向に向かった。





海が、たどり着いた場所にいたのは、ボロボロになって倒れているシャルロッタとサカナ、そして謎の黒装束と戦っている楓がいた。

楓と大魔王サタンは、海がのんきに泉狩りをしている最中ずっと戦い続けていたのだ。


「あの黒装束がこの俺の土地をめちゃくちゃにしたのか...」


海は、楓と対峙している黒装束目掛けて駆け出した。そのスピードは光の速さと同等であるか、それ以上だ。

あっという間に、黒装束の目の前に立った海。


「よう?」

「!?」


黒装束は、驚いた様子を見せた後...海のデコピンによって…


「!?」


粉々に砕け散った。


「・・・」


それを見た楓が、口を開けたまま固まっている。そう、海のステータスは魔族の王、大魔王サタンをデコピンで粉々にできるぐらいに成長しているのだ。


「あの...お兄ちゃんお帰り...今どうやったの?」

「デコピンをしただけだが?」

「兄ツええええええええええええええ!!」


楓の叫び声が、響き渡るのであった。





負傷したシャルロッタとサカナを抱えて屋敷に戻った海は、屋敷のリビングのソファーに座り楓にさっきの黒装束が何者だったのか聞く。


「さっきのやつ誰?」

「今更!?」

「そう、勢いで粉々にしちゃったけどやっちゃて大丈夫だったかな?と思って」

「それも今更な気がするけど...さっきのは大魔王サタンとか...なんとか...」

「ふ~ん」

「ふ~んってなに!?めちゃくちゃ強かったんだよ?それをお兄ちゃんがデコピンでやっちゃったんじゃん!?」

「まぁ、僕が強くなり過ぎたのかな?」


どや顔で言う海。


「腹立つわ~めっちゃくちゃ腹立つわ~」


楓が海のどや顔にキレていると、海のとなりで気絶していたシャルロッタが目を覚ます。


「ここは?」

「おっ!?目覚めたか!?シャルちゃん、大変だったね!」

「海!!あれっなんだっけ?だいじなことを忘れているような…」

「気のせいさ!!」


海は、無駄に爽やかな笑顔を浮かべて言った。


「そ、そうね…」


チョロいシャルロッタは、そんな海の爽やかな笑顔で顔を赤らめる。


「あっ!?」


楓が、突然声をあげた。


「どうした?」

「ドロップさん忘れてました…」

「あらま」





海たちに忘れられたドロップはというと…


「だじゅげでぐだざ~い!!だれが~!!」


泣きながら助けを呼び続けていたのだった。

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