第38話 ツンデレカイム

海 視点に戻ります。




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海の浮気発覚の次の日の夕方・・・

海は、肩身の狭い思いをして、リビングのソファに座っていった。


「お兄ちゃん、そこどいて、私転がるから、」

「はい」


隣に座っていた、楓が突然わがままを言う、しかし海はそれに従うしかない。

そこに、ドロップ


「海さん、のどが渇きました、取ってきてください」

「はい」


海は、従うしかないので、キッチンに移動しようとする。しかし...


「パ~パ~遊んで?」


そこに、海の足に抱き着いて、可愛くお願いしてくるシュナイゼル。ドロップたちからの視線が痛い…仕方ないので海が言う。


「シュナイゼル、少し待っててね、今ドロップお姉ちゃんのお水を汲んでこなきゃだから…」

「うん、分かった!」


そして、ドロップたちに急かされる。


「海さん、早くして下さ~い、私はおいしいお水、待ってま~す」

「お兄ちゃん、私のもお願~い」

「はい」

「おい、鈴木私のも取ってこい!」

「お前は自分で取ってこい!」


海は、サカナに罵声を浴びせた後、シュナイゼルの頭を撫で、その場を後にする。

そこに、玄関から悲鳴が聞こえた


「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああ!」


海は何事かと思い、すぐに玄関に駆け付ける。

海が玄関にたどり着くと、そこには板前包丁を持った、シャルロッタがカイムに襲い掛かっていた。

海は、カイムのことをすっかり忘れていたので、シャルロッタが殺人犯になる前に、カイムの拘束を解いてやる。しかし、シャルロッタは止まらない。


「海、何するの?また内臓ぐちょぐちょにされたいの?いいわよ、私それ大好きだら、早くお腹見せて…」


いつの間にか、クレイジーな女の子になっている、シャルロッタ。海は、それに恐怖しながら言う。


「落ち着いてください、シャルロッタ様…」

「海、どうしてそんなに他人行儀なの?いつもの様にシャルちゃんって呼べばいいじゃない、呼ばないと刺すわよ...」

「はい、シャルちゃん!」


海は、包丁を持って怪しい笑顔をしているシャルロッタに、敬礼しながら言い直す。そこに、カイム


「鈴木、お前いつもこんな奴らといるのか?」

「そうだ、でもこんなに性格が荒れ始めたのは、つい最近だ…」

「そうなのか、お前も苦労してるんだな...」

(まぁ俺のせいだが・・・)


なぜか分かり合う二人、そしてシャルロッタがカイムを刺した。


「ぎゃああああああああああああああああああああ」

「カイム!」


膝をついて、崩れゆくカイム、それを支える海。


「カイムしっかりしろ!」

「もうダメだ、俺は、お終いだ...鈴木最後のお願いだ...火の精霊王ネネに、任務は失敗したと、伝えてくれ、そして愛してたと…それと俺には、師匠がいたんだ、その人には、とても迷惑をかけた、謝っておいてくれ、最後に本当に短い間だったが、ありがとう鈴木海…」

「そうか、こちらこそありがとう、伝言は自分で伝えるといいよ!」


海は、超回復水をカイムに飲ませて、ポイした。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


何が起きたのか、分からないカイム…そして海が、憎たらしい笑顔で言う


「ネネちゃん大~好きカイム君、これからもよろしくな!」

「お前は、俺が殺す!」


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そして、騒動が終わったその日の夜


海は、客間でカイムの話を聞いてやることにする。


「カイム、なぜレナを追っている?」

「知り合いに、ピンチだから助けろって言われたんだよ...」

「そうか、それならそうと、なぜ速く言わなかった?」

「お前が、問答無用で攻撃するからだろうが!」

「ふむ」

「ふむ、じゃない!」


海は、激高するカイムを無視して、話を進める。


「じゃあ、レナを確保して何をするんだ?」

「何もしない、俺は森の精霊王レナを助けろと言われただけだ」

「そうか、なら安心しろ、もう助かってるぞ?」

「はっ?」


そう言うと、海は奴隷組織に捕まっていた、レナのことを適当に話して、カイムをレナの住んでいる家に案内する。レナは、海の屋敷とは別の、海の土地の家に住んでいるのだ。


「ついたぞ」


海は、レナの家についたので扉を開ける、もちろんノックはしない


「うい~すレナいるか~??いるよね~入りま~す」


遠くから、「待て!」という声が聞こえたような気がするが、止まらない海。そして、リビングの扉を開ける。

そこには、下着姿のレナが速く服を着ようとしていた。海は、緑色の下着と、美しい白い肌をじっくり嘗め回すように見た後、言う。


「おう、レナ!」

「おう、じゃないわよ!この変態!何、人の家に勝手に上がっているのよ!」

「ここは、僕の家でもある」

「う、うるさい!黙って出てけ!」


海は、恒例行事のわざとスケベを終わらせた後、リビングを出ていく。そして、カイムが言う。


「お前いつも、こんなことしてるのか?」

「当たり前だろ!自由に生きて何が悪い!」

「その結果が、さっきの包丁だろ?」

「覚悟はある!」

「そうか、ならいいが...」


カイムがあきらめたように言う。

そして、すぐにリビングの扉が開く、どうやら着替えが終わったらしい


「こんな時間になによ...」

「あぁ、ちょっとな」


海は、レナに案内されながら、ソファにつく。


「で、なに?」

「あぁ、このカイムという男が、お前に告白したいらしい」

「告白!?」

「ち、違う!ただ俺は、レナ様の無事を確認したかっただけだ」

「そ、そう」


レナは、残念そうなほっとした表情になる、そして話を続ける


「誰かに、言われたの?」

「そうだ、火の精霊王ネネだ」

「あの性悪女が?私を心配?ありえないわ!」

「何故そう言い切れる?」


カイム質問する。


「そんなの簡単よ、私たち精霊の里にいた時、すっごく仲悪かったもん」

「そうか…」

「なにか、他に理由があるはずよ、きっと」


そこに海が口を挟みカイムに聞く。


「お前と火の精霊王は、どんな関係なんだ?」

「今は、コックと師匠の関係だ!」

「なんだそりゃ」


海は、適当なことを言い、カイムが話は、終わったという風に、出ていこうとする。しかし、それをレナが止める。


「待って、もしかしたら、ネネはわざと私を助けるよう、貴方に言ったのかもね」

「どういうことだ?」


カイムが質問する


「だって、私たち助け合う仲じゃないもの、ということは、なにか他の理由があったんじゃないかしら?」

「理由?」


カイムが考える、しかしカイムの残念なおつむでは、正解にはたどり着かない、代わりに海が答える。


「奴隷組織か?」

「そう、かもしれないわね、私を倒した後、あいつは精霊を奴隷にするとか言って、何処かに行ったもの」

「それは、ありえない!」

「なぜだ?」


動揺する、カイムに海は質問する。


「俺は、最強だ!俺が近くにいるだけで安全なはずだ!」

「ちなみにレベルは?」

「5レベだ!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・」


海は、すべてのピースが揃ったと判断し、推論を出す。


「どうやら、ネネは、どうやって知ったか分からないが、レナが助かることを知っていたらしい、しかし、それをわざとカイムに行かせて、カイムを安全なところに避難させたんだ。なぜかというと、次に奴隷商人に狙われるのは、自分だとネネは気づいていたからだ…」


レナがそれに付け足すように言う


「そうね、精霊王は基本的にその土地から、離れれないものなのよ、だから、カイムを遠ざけたのかもね」


そこで疑問に思った海が質問する。


「じゃあ、お前は何でここにいる?」

「精霊王は、それぞれその土地にある、パワースポットの近くじゃないと生きられないわ、私も捕まった時、パワースポットが、遠くに行って力を失ったわ…」

「ちなみに、お前のパワースポットはなんだ?」


海は、実は答えにたどり着いているが、わざと質問する。


「あなたが盗んだ泉よ!」

「へぇ~」

「へぇ~じゃないわよ!」

「でも、生きてるね?超回復水飲ませたから?」

「そうよ、まぁ危ないところだったけど、それと羽が千切れて、精霊王の権限を失った事も、影響してるみたい、だから私は、もう半分精霊じゃないわ…」

「そうか…だとよカイム」


海は、カイムにそう伝える


「ふざけるな!何を勝手なことを言っている、そんなもの憶測でしかないじゃないか、それに俺は最強だ!」

「まぁ、そうだな完全に憶測だ、しかし、お前がそう思うならそれでいい、その変わり後悔しても知らんぞ?」

「黙れ!とにかく俺は、ネネの場所に戻る!」


そう言うとカイムは、足早に家を出ていった…

出ていった後、レナがつぶやく


「あの人、ツンデレね...」

「あぁ、お前もな!」


海は、元気にそう言ったのであった。






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