見上げた空

平田つばさ

読みきり

晴れた空を流れるのは白い雲。

私の頬を流れるのは透明の涙。


フラれた私は、授業にも出る気分じゃない。

高校に入って初めてサボった。

私にとっては一大事。

君にとっては、景色の一部。


私が教室にいなくても君は困らない。

だけど私は、君がいないとツマらなくて困ってしまう。

だって、私の喧嘩友達だったじゃん?

いつからか私のコトかまってくれなくなった。


こんなコトを思うのは私の我が儘。



「彼女がいるから。」


そんなコト知ってるよ?

だから、最近よそよそしいんでしょ?

だって知ってて私の気持ちを言ったんだ。



君の困った表情を私だけのものにしたくて…。

私じゃ君の"彼女"にはなれないってコトも知ってた。


ゴメンね。


本当は、そんな顔させたかった訳じゃないんだ。

昔みたいに

「何言ってんだ!!」

って笑って怒って欲しかったんだよ?

ただ、一瞬でも君の頭の中を私だけにしたかったんだ。


そんな願いさえも叶わなかった。

君の頭の中には、必ずどこかに"彼女"がいるんだ。



私は、俯いた顔を思い切り空に向けた。

泣いたあとの私には、とてもとても眩しく感じた。


少し、すっきりしたから次の時間は君の景色の一部になろうと思う。

私はそのまま教室へ向かって駆け出した。

君が私を待っていなくても、早く君に謝って友達になってもらうために。

また、喧嘩友達になって欲しいから。


私は諦めない。

そう、見上げた空に誓ったんだ。

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見上げた空 平田つばさ @hirata_t

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