思考実験、つづき
おわる、と書いておいて掟破りな続編だ!
ああ、そうか! と閃いたのだ!
読み直しをしていて気付いたんだけど、推理小説の多くがどうにも描写不足で読者の感情を喚起させないと思っていたんだけども、それって、アレに原因があるんだ!
確率論に寄ってってしまうんですよ、描写を多用するにつれ。
未検証のデータそのものですもん、描写で書かれる文章のひとかたまりは。どうにもナゾナゾみたい、という感想をちょいちょい抱くんですよね、ミステリモノって。
なんと説明すれば解りよいだろうか…、カチッカチッ、とブロックみたいに出来事が確定のカタチで記述されて、一文、一文のレベルで見ると、スムーズに繋がっていないような感覚を覚えることも多々あって…潤滑油が足りない?というか…
う~む、これでもまだなんか伝わってないだろな。(笑
数学的なカッチリさで出来事が起きて、記述されて、だけどそれを国語的に読むとどうにもスムーズさがないというか、自然な現象と見えないというか。
漠然と感じてはいたんですよ、以前から。なんか油切れみたいな感覚というのを、推理小説ってのの、例えば江戸川乱歩とかからでも感じていて。なんかそっけないなー、みたいな? それがいい、という意見もあるんで個人の感想だけどね。
でも、そういうのが好きという人と同じ価値観ではないので、私は私が好きな感じに書こうとしたんですね、脂たっぷりですべりの効いてる書き方が好きで。(ようするに、ヒントの記述からが確定としては書かないってこと)
数式的な書き方においては、個人の行動は実は「個人的な」に帰結しません。それだとその個人のケースにすぎないということになるから。ここで求められるのは、その個人の行動が一般的であるという、検証の際の基準値なのね。だから、数学の文章問題なんだな、て解ったのよ!
ACジャパンの発展途上国の女の子が学校に行くためには…ていうCMが話題になったけど、アレよ、アレ。アレこそがミステリ的文章。そうだったのか!てなもんよ。
あれ、理想だよね。文章そのものは事実しか述べず、回答も一つしかない。だけど、含められた意図や背景ってのはものすごく大きくて、しかも問題の根本とか直接原因の解法となると明確な回答もない、ていう。あれが、ミステリの作法に則る、というヤツだと気付いたのでした。
あのCM文章が、ミステリの文章の基本形なのだね。
しかし、困るのは一緒だ。私はヌルヌルと脂の効いた書き方が好きで、確率論的なモノの見方が好きで、だったら普通に一般文芸書けばいいじゃんとなるだろうが、それと同時に物理トリックそのものは好きなんだ! ミステリの書き方は気にくわないが、論理的とされるロジックもあんま気にしないが、ピタゴラスイッチなトリックの仕掛けとかは大好きだ! そりゃあ、ゲームのRPGでもギミックは醍醐味だもん、大掛かりなものなほど、ワクワクするじゃないですか、SFもそうだし。
…何が違うのかなぁ、とまた一周するのでした。今度こそおわる。
注釈:
文章がそっけなく感じる、というのは、シンプルという意味ではないです。池波正太郎先生の文章なんかもシンプルだけど、そっけないのは表面だけで、一文一文の合間にも意味が詰まっていて、シンプルだけど含まれる情報は多彩じゃないですか、それとは違う、表面にも裏面にもシンプルでそっけない、という意味。
行間に意味があるのは、ミステリ的論理の邪魔でフェアを崩すから仕方ないのかもしれないけど、アレですだ、「藪の中」はフェアと呼べるか問題。あれ、そもそもミステリに入れてもらえるのだろうか、というのでクヨクヨしてるのです。
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