小説論を一度整理してみよう!(汗

 小説の周囲って色々と矛盾に満ち満ちているなと思っていて、批評論なんかでもそこで四苦八苦してるイメージでさ。作者はなんと考えてこう書いたのでしょう、とかで行くと、生体の作者というのは日々思考が変わるからその時の作者の気持ちだの何だのの面倒臭いことになるし、作品の主張と作者の主張は必ずしも一致しない問題だのとかが解決出来ん問題なんて感じで、どんどん入れ子状にややこしくなるよね。


 それの打開策としての「作者は死んだ」で、作中に出ている、いわゆる地の文の意志、あるいは作者の意図っていうのは、これはリアル作者ではなく、作中に息づいている作者モドキ、<語り手>という存在であってノット作者、という考え方が現在では評論の主流って感じになってる。作品と作者は切り離すべし☆


 だったらだ、だったらさ、この<語り手>の前には同じように作中存在である<受け手>だって存在してるよな、というわけだ。書いてりゃ思うもん、誰に向けて文を構築していくのか、ターゲットはほんとに絞りに絞った方が、しっかりした作品が書けるのは間違いないわけだわさ。


 文章レベルで分解して作品の設計図を作ろうと思うじゃん? そしたら、かなり初期の段階で、地の文がどういう思考を持つかを考えるんだけども、それとほぼ同時くらいで、読者はどういう趣向の人間であるかを考えるってのも、地の文の人格設定の時にはセットで立ち塞がってくる問題なんだわな。誰に向けて語るか?


 これが漠然としてると、それを受けた<語り手>の態度もまた曖昧にならざるをえなくって、ブレるんだよね、語り手の存在が。だから、作中作者の目の前には、やっぱり作中読者という本当にまったく隠された存在が、ちょこんと座ってるんだ。


 まず、物語を作る時に、この作中読者を作り上げねばならないよね。ラノベだったら、この子は男の子で中学生であんまり難しいような小説は興味がなくって、ゲームとかのが面白いとか思ってる。好きなゲームはポケモンで、ネトゲは無課金しか出来ないからあんまり楽しくないと思ってる。それで友達に勧められて、最近はラノベにも興味を持ってて、だけどまだ半信半疑だ。


 さて、作者だ。作中作者。この作者は作中読者の上記少年に対し、なんとかラノベ好きに、ひいては他の色んなジャンルの小説も読んでくれるようになってねという感じで、なんとか彼が読んで面白い作品を考えようと思ってる。

 ゲームが好きだしネトゲもすると聞いたけど、VRMMOはどうだろうと考える。いや、彼の言うあんまり楽しくない、てのは課金勢不公平腹立つに近いから、ゲームで無双とかも彼の性格を考えるとたぶんアウトだ、何でもズルに見える可能性がある。彼の場合の地雷原は、不公平腹立つ、の言文に隠されている気がするから、ハーレムもムカつくだけかも知れない、このお年頃はオジサンのように割り切って娯楽するなんてのはまだ無理かもしれない、ボーイミーツガールの王道かなぁ。そんな感じ。


 想定読者がたった一人となれば、彼に合わせた作中ルールで完全統一が果たせる。


「手紙を書くつもりで、」てのはそういう意味で、作中作者として現実の作者と切り離す程度には独立した立場で語り手が存在しなければならないとする場合には、もちろんのように読者というものもまた、現実の読者など指さないわけだ。


 描写の多少、漢字を開く開かない、語彙レベル、すべては想定読者に合わせるべきであり、リアルの読者など無関係だというわけだ。たまたま想定読者に合致するリアル読者は難なくこれを読めるが、そうでない読者は、想定読者にロールプレイ状態で読解しなければ真に愉しむことは出来ない、てことだね! 解かった、完全に!(笑


 つまり、読解力ってのも、それで言えば想定読者でロールプレイ、のことだよ!



 書き手にとっては、<語り手>よりも、この語り手を構成する土台であるところの<想定読者>という一人の人間が、どれだけリアリティをもって一個の人間として現実的に存在しているかという事のほうが大事なんだ。彼こそが、作品の真の土台、礎石だったんだよ! 彼が、作品の都合でブレブレにならないように注意して書くことが、ひいては一番解かりやすい小説の書き方の基礎になるんだわ。(すっきり~)

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