「文学文芸」と「なろう系ラノベ」との違い

 もう、なろう系だけを隔離で切り離すけども。その方が論理が立てやすいんだよねぇ。最近の感覚だと。他のSNSに見かけるモノもほとんどはなろうからの輸出品。


 なろう系ラノベと、一般のラノベ自体も切り離すべきなのだ、と結論した。ラノベと言いつつ、例えば「キノの旅」や「嘘つきみーくん――」などは体系的に見れば文学文芸の派生から生まれていると思える。もう一方の、テンプレ系からの派生ではないのだよね。テンプレと他のラノベを切り離して考えるべきやったんや!てなもんです。


 まず、なろう系の特色として世界観が借り物。


 そこから必然で「そうならざるを得ない」結果としてのアレコレが特徴として生まれ出てきますわな。


 登場人物がすべて主人公の付属品。


 その主人公すらが、実は、作者が唯一作り出したといえる、アイデアの実現の為だけのガジェットに過ぎないという点。


「ぼくのかんがえたすごいおはなし」どころではなく、「ぼくのかんがえたすごいアイデア」の発表の為に、その他のパーツの全てをレンタルしてきた、という事。レンタル品だから細かい点で矛盾があったりするけれど、そこはスルーするわけよ。だから必然で、アイデアの為の主人公となり、その他登場人物となり、世界となる、という逆転した構造になってしまう。アイデアの為に用意されたレンタルパーツだ。


 感覚的にはレゴブロックで作られた展示物とか、ドット絵のイラストみたいなものだろうと思う。だから、レゴであったりドットである事をスルー出来るならば別に気にならない、むしろ、レゴやドットでこれだけ作ったという点は評価されうる。


 レゴやドットは規格があり、表現物をまずはその規格に細分化して当て嵌める計算をするわけで、自由素材の方は逆に素材の方を成型するという具合のことだ。


 だが、レゴやドットでなく、ふつうの造形物として自由な素材で作っても良かったわけだよ。テンプレの多くはたぶん、それをしないというに確固たる理由もないわけで。だから、反発ももちろん出てくる。確固たる理由付けで、レゴやドットで、借り物利用という明確な芸術として作ったわけではないからだ。認知の歪みとでもいうんだろうかね。創作上のポリシーだとかに回帰するわけか、どうも決着が着かんなぁと思ったよ。


 ラノベが文学文芸と違うのではない、テンプレ系なろう小説の一群だけが奇異なのだ。ま、一つのジャンルに確立されてるんだし、無問題。(笑


 ただ、読者の方でも明確に二者が違うと気付き始めた昨今だと、もう明確に分離させないとミックスは駄目になるだろう。誤魔化されてくれないからさ、読者が。

 世界と人物は紐付けられていないと駄目なんだよ、文学文芸ではそれは当然なんだけど、テンプレ系では理屈が破綻してもいいんだよね、借り物だからそりゃ当然でピタリと理屈がすべて通ってるわけがないわけで。


 異世界転生での野暮なツッコミの数々、あれはなろう系小説というジャンルでは野暮というしかないんだけど、その他のジャンル世界では当たり前の批評になる。


 例えば、ゲームでさえもユーザーが独自に色々と考察をするに耐えるだけの設定は最低限で用意してあるもんなんだよねぇ。付ければ付けるほど破綻が出やすくもなるんで、某刀剣ナントカなんてソシャゲは設定をあえて真っ白にとか運営が書いてるもんね。それでも最低限の世界観はキチンと考察を許す程度には整合性を備えているっていうね。


 せめてその程度には備えるべきなんだよね、本来。それを業界初でリミッター解除してのけたのが、なろう系って話ですだ。だから、アレだけが小説界隈の中での唯一の例外ジャンルとなった、て事。それを読者の側で許容する範囲がどの程度あるかは未知数って事で、新しい潮流ではなく、新しい一つのカテゴリに過ぎなかった、て事ね。


 ただ、この事をラノベ系のワナビたちは気付いてなくて、ラノベの1ジャンルでしかない、なろう系市場のパイを奪い合ってる可能性はある。文体が違うもんねぇ。

 一番やっちゃいけない、なろう系文体でカテエラ作品をせっせと書いてる可能性が高いわなぁ。ほれ、推理と銘打って恋愛主体に書くよーな、ね。

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